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はちみつミルクにチョコレート
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「あ、遊ぶだと・・・?」 「うん!しょうだよ!おにごっこしょうか?そえともおままごと?」 「・・・・・・。」 ピッコロは絶句してしまった。 そ、そんなことをオレがやれってか・・・?この娘は・・・。 思わず自分が遊んでいるところを想像しかけてしまい、彼は軽いめまいを感じた。 ふざけるな。 いくら神と融合したとはいえ、そんなこと、絶対やらんぞ。絶対だ。 つい眉間に力が入りすぎてしまい、恐ろしい形相をしていたらしい。 パンはなんとなく、ピッコロが困っていることがわかったらしく、違う提案をしてきた。 「ねえぴっこおさん、そしたあえほんよんで!」 「絵本?そんなもの、ここには・・・。」 パンは、自分のポケットから赤色のカプセルを取り出して、両手で上のスイッチを「かちっ」と押した。 ぼんっ!! ばさばさと3冊の絵本が空中から現れた。どれもこれも、表紙に王冠をかぶった少女の挿し絵がある。 「おとうしゃんがね、パンにってくえたの!」 「ほう。」 3冊あるということは、彼女の誕生日ごとに悟飯が贈ったものなのだろう。 表紙の端がすり切れていて、その汚れ具合からみても彼女は何回も何回も開いたに違いない。 それを彩る美しい挿し絵も、ちょっとだけだが汚れてしまっている。 「ねえ、ぴっこおさんよんで!」 「悟飯とデンデにたのめばよかろう。あいつらの方が得意だ。」 そうなのだ。 どちらも面倒見の良い性格をしているので、子供のペースに合わせて遊んでやるのが得意だった。 この間、遊びに来たときはデンデと手合わせ遊びをして、彼にずーっとくっついて離れなかったのだが・・・。 「だっておとうしゃん、いまいしょがしいかや・・・おかあしゃんばっかなの。」 「そう・・・なのか?」 「いま、いそあしいんだって!おかあしゃんがゆってた・・・。」 そういえば、学会とやらの準備でこのごろ忙しい・・・とか言っていた。 娘をかまっているのは、きっと母親と修行バカな祖父くらいなのだろう。悟天もこの頃は神殿にも顔をあまり出さなくなっていた。 ちょっとはさみしい思いをしているのかも・・・。 自分を見つめる視線に、同情心があることがわかったらしい。パンは『にまっ』と笑うとピッコロにもう一度、せがんだ。 「ねえ、よんで!」 「む・・・・・・。」 当たり前だが、彼は絵本など読んだ事も読まれたことも、ましてや読み聞かせたこともない。 悟飯やデンデのように、『演技』がかって読むことなど彼にとっては不可能に近い。 こんなに冷や汗が出るのは久しぶりだ。 彼はちょっとため息を付いたが、パンはそんなこと全く気にせず一冊の絵本を選んで持ってきた。 「Sleeping Beauty・・・?」 「おひえさまがね、ねむっちゃうの。あたし、こえだいすきなのよ!こえよんで!」 パンはピッコロのヒザの上に座り直して、絵本が開かれるのをいまかいまかと待っている。ここで断ったら また泣かれるんだろうな・・・。くそ。 ピッコロは王冠をかぶった少女の姫と、対峙するかのように身構えて表紙をひらいた。 「む、・・・かし、むかし・・・あるところに、とても、う、つくしい国があ、りました・・・。そこには・・・。」 彼の読み方は、字が読めない子供のようにたどたどしかった。もちろん実際はよめるのだが、どんな風にして読んだらいいのかがわからない故の、どもりようだった。 しかし、パンはピッコロが自分のためだけに読んでくれるのと、彼のヒザに座っているのが嬉しくて、黙っ て物語の行方を聞いていた。 「姫達は、魔法使いの呪い、によって・・・。眠り続けました。10年・・・20年・・・そして、いつしか100年ものながい時が過ぎていました。姫は、いばらの森にかこまれてずっと・・・ずっ、と、眠っていました。」 「うん、うん!」 だんだんと、自分の読み方が流暢になってきたのがわかった。なんてことはない、ただ普通に読んでりゃいいのだ。別に演技がかって読む必要もないのだ。 彼はそのことにようやく気が付いて、ちょっとだけ汗が引いた。 「そこへ、いばらの森の眠り姫の噂を聞いた、隣りの国の王子様がやってきたのでした・・・。」 物語は佳境に入り、いよいよページものこり少なくなってきた。 やっと終わるぞ。 彼が開いているページの挿し絵には、いばらの森を抜けてなんとか姫が眠っている所までたどり着けた王子が描かれていた。夢をみるような目で、眠り姫を見つめている。 「なんと・・・。・・・なんて美しい姫なのだろう。この世のものとは思えないくらいの美しさだ・・・。」 ピッコロの声で背中から王子の言葉をささやかれたパンは、なんだかくすぐったくて、自分の頬を両手で覆った。 そして、また何かをたくらんだらしい。いきなり絵本をばん!と閉じて、上目遣いでピッコロの顔を見た。 先ほどのように、彼の首に腕を回してヒザの上に立ち上がった。 「ねえ、ぴっこおさんはこのあとどうなるか、しってう・・・?」 「知らん。どうなるのだ。」 パンはニッコリ笑って、そしてちょっと黙り込んで、また彼の目を見つめた。 「あのね、・・・こうなうの。」 彼女はピッコロの顔に自分の顔を近づけて・・・それでもまだちょっと背が足りなくて。 背伸びをして、自分の唇で彼の唇をさわった。 小鳥がさえずるような音が、彼の耳に聞こえてきた。 「ちゅっ・・・。」 『王子様は、お姫様に優しくキスをすると、お姫様の目はぱっちりとあいたのでした。』 2001/08/01
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