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Precious Darling!
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その時、胸が『どきっ』っていうのがわかって、「あ、どうしよう。」って思ったの。なんでどうしようって思ったのか、その時はよくわからなかったんだけど…うふふっ。 あたしの宇宙船が自己修復している間に、ネイルが色んなところに連れてってくれて。あ、最長老さまのところにも連れてってもらったわ。うふ。あたしの顔をみて、『美しい顔をしていますね…』って。 目を閉じて、眠っているようなのに…。 けど、口からでまかせ言っているようにはみえなかったわ。きっと、あたしや他の人たちには理解できない何かが見えるのね、うふ。 あ、あたしが美しいって言われたから、都合のいいように解釈しているわけじゃないんですよ。ほんとうに! あたしは、ネイルのそばにいればいるほど、スキでスキでたまらなくなっていくのがわかった…。頭では、わかっているんです。宇宙船が直ったら、もうきっと会えないし…。大体、恋心っていうのが存在しない人たちなんだから。 そんな人を好きになっても、自分が苦しんじゃう…。不毛だわ。そう思って、『どうしよう』っておもったのかしら。うふふっ。 そう考えているうちに、宇宙船の自己修復が完了して…あたしは帰ることにしました。これ以上甘えられないし、ネイルのそばにいたら…あたしの方がおかしくなっちゃいそうで。 けど、いよいよ帰るときになったら、また涙がぼろぼろ出てきて…。心よりもカラダの方が正直だったのね、うふふっ。涙を止めなきゃって、思えば思うほど止まらなくて。それで、つい口にだして言っちゃったんです。『ネイルと離れたくないよ』って…。 「その時、ネイルがくれたのがこのレプリカだったの。」 クロウは、自分の周りに浮かんでいるレプリカをぎゅっと抱きしめた。子供を抱くときのように、優しく。 「ネイルがこれをにぎって目を閉じると、そのレプリカが…ただのおもちゃだったドラゴンボールレプリカが、急にきらきら輝いて。うふっ。…それを確認してから…、あたしにくれたんです。」 「わたしの力がこめられている…。」 「ちから…?」 「そうだ…。離れていても、わたしのことがわかる。」 ネイルは、にっこり微笑んでまたあたしに話したわ。わたしのことを、そんなに大切に思ってくれてうれしいって。 わたしも…クロウのことは忘れない…。ずっと。 ネイルがその言葉をあたしにささやいた瞬間、『どうしよう』っていう気持ちはどこかに飛んでいってしまって。気がついたら、ネイルに飛びついて、…ず〜っとくちづけてた。 「ネイルはびっくりしちゃって、困っていたけど…。」 クロウは、大きな耳を真っ赤にして「きゃあ、言っちゃった〜!!!うふふっ!!」と、体をもう一回、くねらせた。 「…で、それがどうしたんだ…?レインが出来たことと、全然関係ないだろうが…!」 ピッコロはしびれをきらしてクロウに怒鳴ってしまった。恋心がまるでわかってないナメック星人にとって、今までの話は訳がわからない以外のなにものでもないらしい。デンデは、さすがに怒鳴りはしないがぽかんとしている。 しかし、盛り上がっているクロウがそんなことに気が付くはずもなかった。 「え…?だ、だから…その。」 クロウは、口をなるべく小さく開けてつぶやくように言った。 「そ…そのときに、レインができたん…です。うふふっ!!あたし達は、その、あの、く、く、口付けたら子供ができるの…。ネイルが、レインのことを知らないっていうのも…わかりますよね?」 デンデはそこでようやく顔をあげた。 「じゃ、じゃあネイルさんが意識して、あなたにレインさんを授けたわけじゃないんですね。」 「もちろんです。うふっ。」 クロウはピッコロのそばにレプリカを引き連れていくと、彼の指に自分の手を滑らせた。 「けど…。あたしは、あのネイルの言葉がとってもうれしかったんです。あたしがまだ、ちっちゃな子供だったからかもしれないけど…。忘れないって言ってくれるだけで、うれしかった。あたしの存在を認めてくれるだけで…嬉しかったんです…うふふ。」 クロウは、レインがしたようにピッコロの指からくっついて離れようとしない。 しかし、彼は今回は『離せ』とは言わなかった。 爪先で、クロウの髪をなでてやった。 ネイルがしたように、優しくはできないけど…。 「あは…。ありがとうございます…。あなたも優しいんですね…。」 「フン…。」 二人のやりとりをみて、デンデは思わず微笑んだ。 「さあ、…そろそろ戻らなくちゃ。あんまりいたら、あの子が困った時にたすけてあげられなくなっちゃう。うふふっ。」 クロウは、ピッコロの指を未練たっぷりに離して、レプリカを自分の周りにくるりと浮かせた。 「あたし、レインに夢の中で言っておきます。…あなたは、パパであってパパじゃないって。」 「…そうしておいてくれ。」 彼女はにっこり笑うと、指をぱちんとはじいた。その瞬間、彼女の体が光の粒になっていく。体の先端から、少しずつ。 「あたしね、レインがパパを探しに行こうって言ったのを聞いたとき…、このレプリカのなかでドキドキしちゃったんです…。また、ネイルに会えるって…。」 「……。」 「結果は、ちょっと違ったけど…。ネイルがあなたとして、あなたの体の中で生きている…。」 クロウの光の粒が、ちょっとずつピッコロの体を撫でた。 指先から順番に、腕を、首を …くちびるを。 「それだけで、今のあたしには十分です…。うふふっ…。死んでからも…あなたに、会えて…よかった。」 クロウは、大きな瞳を片方だけぱちりと閉じると、手を振った。 光の粒子が、ドラゴンボールレプリカの中にすべて吸収されてしまった。 ピッコロは、前よりもちょっとだけ輝きが鈍くなったレプリカを掴み取って、そおっとにぎった。 『…わたしも…、あなたに会えてよかった…。』 「え?」 デンデは懐かしい声を背中で聞いた。 今は、聞きたくとも永遠に聞けないひとの声を…。 振り向くと、そこにはいつもの愛想の無い表情のピッコロが、口元だけで微笑んで立っていた。 2001/06/04
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