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スノウフレイク
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空気が凍てつく。マントごしに吸った空気は冷たくて、水の香りがした。 凍てついた空気は、雪が降る証拠。 唇にくっつく雪はすぐに溶けて、甘い香りを口中に広げる。 地球にやってきてから、何回目かの雪が降りてくる。 「神様、あんまり薄着してるとカゼひく。」 「大丈夫ですよ、ポポさん。僕たちナメック星人はこのくらいならまだ快適です。」 地球の神―デンデが「ね?」と同意を求めるように振り返った先には、腕を組んでつっ立っているピッコロがいた。下界に視線を落としながら、デンデの問いかけに首をタテに振る。 神殿は雪が降り積もる事はないが、やはり冬になればそれなりに空気が澄んで張りつめる。夏とは違う星を見ることができるようになる。 何回も何回もこの風景を見てきたピッコロだが、自分のまわりを桜のように舞う雪に悪い気分はしなかった。 「雪花とは・・・よく言ったものだ。」 「ゆきはな?」 「桜のように散り落ちて降る雪の事だ・・・。きっと、雪なんぞ見たことがない者が作った言葉なのだろうな・・・。」 デンデは感心したように目を丸くして手のひらで雪をすくった。 ふわりと溶ける。 「地球の人達は、素敵な言葉を考えるんですね・・・。雪が、さくらかあ。」 デンデはもう一度、天空から降りてくる雪を見つめた。なるほど、はらはら舞う雪は桜の花に似てない事もない。自分の額に、頬に、唇に降っては溶ける雪は決してそこにつもることがない桜の花びらだ。 「ボクも、寒いよりは暖かい方がスキですよ。けど、地球の人達は冬の中に花をたくさん見つけているんですね。」 デンデが『見てください。』と下界を指さした。神殿の住人達だけが使える遠目の瞳で見ると、そこは花がゆらゆら揺れていた。 薄曇りのヴェールに透けて見える光は、色とりどりの花にあふれていた。 光の花がたくさん咲いている。赤や黄色、青い光。この時期になると毎回、毎回、光が洪水のようにあふれてくる。 光を使った造形物、イルミネーションというものらしい。いつか悟飯が教えてくれた。 冬になると、あたたかいものが恋しくなるでしょ?イルミネーションもきっと、そんな風に、あったかいぬくもりが欲しくてだれかが考えたんですよ。 きっと、ね。 「これを見ると、もうすぐ一年たつんだなって思うようになってきました。」 「ただの飾りだ・・・。」 いつも通りの愛想のない返事を、デンデはくすくす笑って応えた。 「デンデくん、ピッコロ!ポポさんも!用意できたわよーっ。こっちいらっしゃいよ!」 デンデが振り返ると、宮殿の入り口に即席のパーティ会場ができていた。いつものメンバー達がニッコリ笑って手を振っている。 「はーい、今行きます!」 神殿の住人達の間に静かに流れていた聖夜のしじまは、ブルマの一言ですっかり吹き飛んでしまった。下界に咲いていた光の花も、今は遠い。 神殿の巨木は、下界に負けず劣らずきれいなイルミネーションで飾られており、てっぺんにきらきらひかる星が付いている。大きなリースに、ぴかぴか光る球体のオーナメント。 そして自分達は口にすることができないが、豪華な料理。 サイヤ人の血が混じった者達がほとんどなのだ。この料理を目の前にして黙って待っているのは正に拷問だ。 3人はお互い顔を見合わせて微笑むと、即席パーティ会場へゆっくり近づいていった。 聖なる夜・・・もとい大騒ぎのクリスマスパーティはこれからなのだから。 2001/11/5
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