sunshine HEAVEN!
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べしゃ・・・
ぼとっ
ぼとぼとぼとっ

口を開けている悟飯の腕に、ウォーターパックはほとんどない。床に落ちてしまっている。『彼』の存在をしらないビーデルは、不思議そうに悟飯とピッコロ達の顔を見渡した。ポポとデンデはニッコリ笑って、特にデンデは子供みたいにはしゃいでいるといっても良いかも知れない。
ピッコロはというと、悟飯と同じく口を開けてポカンとしている。
「ぴ、ピッコロさん・・・まっしろけになっちゃってるわ・・・。な、なんなの・・・?」

デンデもどきのナメック星人の瞳は、大きくかつ切れ長で唇は上向いてデンデの顔を見つめていた。
背の高さはあきらかに『もどき』の方が低い。
その上、声もビーデルよりもずっとずっと高い声だったが、雰囲気はデンデよりも大人びていた。
しなやかな動きの指先。立ち振る舞いもどことなく上品だ。
まるで小さな紳士のよう。
そう思ったのは誰だろう。

デンデはこれ以上ないくらい、ニッコリ微笑んでその子供のナメック星人の手をきゅっとにぎった。
「ボク、またネイルさんに会えて本当に嬉しいです。だってもう会えないと思っていましたから・・・。」
「デンデもりっぱになったな。おどろいたぞ。」
「ちょ、ちょっとまて・・・。」

なごやかな雰囲気の二人の会話に、ピッコロが割り込んだ。彼の声のトーンは低く、まるで敵にオドシをかける時のように瞳が光る。
「なぜオレが、同化したハズのキサマを、あんな思いで産まなくてはならんのだ・・・?」
「そんなことは、わたしが、ききたい。」
ネイルはデンデの手をにぎったまま、切れ長の瞳をピッコロにぎっと向けた。特徴的な八重歯が見えるくらい大きく口を開けて、一言ひとこと確かめるようにピッコロに言葉を返した。
「頼みもしないのに生まれたのはキサマだぞ。」
「わたしは、うんでくれとはたのんでないぞ。おまえののどをとおってでてきた、ただそれだけだ。」
「そのおかげで、オレがどんな目にあったのかわかってるのかっ!!!」

平行線の二人の会話は、ピッコロの怒鳴り声で幕を下ろした。デンデもどき・・・子供の姿のネイルとデンデ、それに悟飯達は思わず耳をふさいで目をつぶった。
「あまりおおごえをだすな・・・。みみがいたくなる。」
「ぴ、ピッコロさん、あの・・・。」
「やかましい、お前は黙ってろデンデ!!」
「きさま。」
ネイルは眉間にしわを寄せて、ピッコロの顔をじっと見た。そして目線が同じになるようにふわりと浮くと、彼の顔の前で足を組んで腰掛けるようにして宙に止まった。

「なんだそのいいかたは?ずいぶんとえらそうだな・・・。デンデはこのほしのかみだろう?なぜ、かみのデンデをおまえがどなりつけなくてはいけないのだ?」
ネイルの大きな目はうっすらと赤く染まっていた。
ナメック星人は感情が高ぶると、その瞳が紅くなる・・・が、デンデは彼の瞳が朱に染まったのを見た記憶はない。
ネイルさんてば、そ、そんなに怒ることないのに・・・どうしよう・・・?
「オレはデンデの後見人だ。こいつは神として今、修業の真っ最中だ。」
「だからおまえのほうがうえといいたいのか?」
「なんだと・・・貴様。」


悟飯は一触即発状態の二人を、ありもしないパックを抱えて未だにぼうっと見つめていた。ビーデルはといえば、大量のウォーターパックをいったんカプセルに戻して、スカートのポケットにつっこんだ。
「ご、悟飯くん?あの子、ピッコロさんの子供じゃないの?なんなの?」
「え?」
悟飯は初めてビーデルの声が聞こえたかのように、彼女の方に大げさに振り向いた。彼女の顔はピッコロに対する不信感と、訳の分からない今の状況が混ざって困惑顔になっている。
「なんなの?教えて。」
「あ、あのね・・・実は。」

悟飯は先ほどピッコロから言われた通り、彼らの生態系をわかりやすく教えてあげた後、10年以上前になるナメック星の出来事を、かいつまんで教えてあげた。
地球ととてつもなく離れたナメック星のこと、そこに行くことになってしまった訳、着いてからの出来事、そこで彼らに色々と助けてもらったこと、ピッコロがネイルと同化したことなどなど。

「同化したっていうのは、ボクもこっちに戻ってきてからわかったんだけどね。」
「また、普通の人なんかじゃ考えつかない話ね・・・。」
ビーデルはちょっと困った顔をしてから、くすくす笑った。
悟飯の話は、常識と生活感と想像力を遙かに越える話ばかりだ。しかし、ビーデルは彼が口に出して話してくれる『物語』を、今は100%信用していた。
彼の非常識な力に何度助けられたかわからないし、自分が今その物語の中に入っている事もわかっていたから。

ひととおりの話を悟飯から聞いたビーデルは、『うんうん。』と頭を振り、未だにガンの飛ばしあいをしている二人の所にそっと近寄った。
「問題なんて、ないじゃない?また二人に戻ったってことなんでしょ?神様は喜んでるし、よかったじゃないですか!」
「そ、そうですよ。ここに住めばいいですし!」
「冗談言うなっ!!」
師匠の怒鳴り声には身を引いてしまうのは、どうやら子供の頃からのクセになっているらしい。悟飯は思わず肩が上がるのがわかった。

「とにかく、でてきたものはしかたないだろう?とうぶんはここにいてもいいか?」
「もちろんです。ボクはかまいませんよ。」
「ふざけるな。貴様がここにいて何ができると言うのだ?」
「え、ええっ?」
ここの主はピッコロでもなければ、ミスター・ポポでもない。デンデだ。
この神殿での決定権は彼にあり、ピッコロがあれこれ言うことはできない。
しかし、今は別だ。

「オレは地球で神として働いた知識と経験がある。だからこそ、こうやってデンデに色々と教えることができるのだ。だいたい、お前がこの神殿にいてなにかプラスになることがあるのかっ!?」
「きっとなにかはあるだろう?」
ネイルはにっこりしながらデンデの方に戻り、彼の顔を見た。

「わたしはおまえとはちがって、いるだけでいいさ。おまえよりもデンデのことなら、ナメックせいのことならなんでもしっている。」
「いい加減にしろ・・・ガキだと思ってスキ放題言いやがって。」
「それに。」
彼は『ニヤっ』と笑うとピッコロの顔を小さな指でしゅっと指した。


「おまえのこともよくしっている・・・。やくにたてるとおもうが。」
「・・・・・・何が言いたい?」
「おまえはわたしで、わたしはおまえだ。ちがうか?」
ネイルは面白そうに、自分の指先と彼の顔を見比べて、つぶやいた。


2001/09/11

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