DB的眠り姫もどき童話風味U
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「そ、そんな、姫・・・・・・本当に死んでしまうなんて・・・・・・」
「あらあ〜、哀しいわ〜」
 嘆く(?)王と王妃に、少年・・・・・・良い魔法使いは言いました。
「大丈夫、僕が何とかしてみます。まず姫を棺に納め、姫の部屋に運んでください」
 指示通り、姫は棺に納められ、美しい花を敷き詰められた自室に運ばれました。城の人間全てを大きなホールに集めると、良い魔法使いは言いました。
「いいですか?これから皆さんを、いいえ、この国にいる全ての人々を姫と共に眠らせます。そして姫には、いつか将来を誓い合う王子の口付けで目覚めるよう魔法を掛けます。その王子が姫に口付けをした時、この国の人々も目覚め、再びこの国に平和が訪れるでしょう」
 王と王妃は頷きました。そして良い魔法使いは宙に浮かぶと、厳かに呪文を唱えます。するとまずは城中に、きらきらと光る眠りの粉が舞い始めます。王や王妃、兵士や召使い達は次々と眠りに落ちてゆきました。しばらくの間、そのまま良い魔法使いは呪文を唱え続けていましたが、やがてはたと気付きました。既に眠りの粉はホール全体を覆っています。良い魔法使いの頬を、冷や汗が一筋流れ落ちました。
「あ、あの!そこの一番扉に近い兵士さん!」
「あ、はい、僕ですか?」
 一番遠くにいた所為でまだ眠りの粉が効いていなかった兵士その二が答えると、良い魔法使いはてへっ、と笑って言いました。
「あの、僕うっかりして自分の周りにも粉を撒いちゃいました」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ!?」
「なので、すみませんが僕の代わりに王子をここへ案内する役目を負ってくださいませんか?」
「ア、アバウトな子だな!?」
 お願いしまあす、と笑ってぽりぽりと頭を掻く良い魔法使いに突っ込みを入れつつ、兵士その二は急いで駆け出しました。
「あの、それからこの粉はもうすぐ国全体にも及ぶので、急いで国を脱出してくださあい。100メートル、3秒で走れますよね?」
「僕やお父さんや形だけは伯父さん以外の人だったら無理でしたよっ!!」
 良い魔法使いがぽて、と床に落っこちる音を後ろに聞きながら、兵士その二は全速力で国を脱出しました。国全体が茨に囲まれ、眠りに落ちてゆきます。茨の蔓とチェイスを展開しながら、兵士その二は力一杯、こう叫びました。
「僕っていっつもこういう、損な役回りなんだよなっ!?」
 そして、何とか国外へ逃げ延びた兵士その二を残し、その国は固く門戸を閉ざし、静かに眠りについたのです。



「・・・・・・ああ・・・・・・これから僕、どうしよう」
 眠ってしまった国を前にして、兵士その二は一人、途方に暮れておりました。しかし、と彼は思い直しました。こうなってしまった以上、自分で何とかするしかありません。逃げちゃ駄目だ・・・・・・逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だっ!(古い)と決心し、兵士その二は言いました。
「・・・・・・取り敢えず自活しよう」
 こうして彼は国境ぎりぎりの場所で、こつこつと自分の手で木を切り出し家を建て、生活用品も手作りで揃えて何げに快適そうな住まいを作り出しました。そして何故か隣に住んでいるおばさんに気に入られ、力仕事をする代わりに野菜を分けて貰ったりして生活しておりました。以外に逞しい兵士その二です。
 そして数年後。ついに運命の日がやって来たのです。

 

「・・・・・・何だ?これは」
「どうやらこの国は魔法によって眠りについているようですな」
「って、前にも無かったか?こんな会話」
「そうでしたかな?私にはさっぱり」
 言いつつやってきたのは白いマントをなびかせたある国の王子と、そのお付きの者です。逆立った髪に鋭い眼差しを備え、背は低いがプライドは天より高いその王子は、緑の肌に何処か落ち着いた瞳を持っているお付きの者と共に修行の旅の途中でした。
「誰か居ないのか?話を聞きたい」
「おや、あそこに丁度畑仕事をしている若者が」
「よし、そいつを連れて来い!」
 連れて来られた若者とは、勿論兵士その二でありました。汗を拭きつつ兵士その二は言いました。
「もうちょっといいでしょう?まだ野菜に水やってるんですよ」
「やかましい、とっととこの国が何故こんな事態になっているのか教えろ」
「だって早くやらないと日が沈んじゃうじゃないですか!」
 すっかり当初の目的を忘れて農民に馴染んでいる兵士その二でありました。
「ええい、言えと言ってるんだ!」
「もう、しょうが無いなあ・・・・・・」
 兵士その二が一連の事を語り終えると、王子は暫く沈黙していましたが、やがて言いました。
「・・・・・・無視するぞ!」
「ええっ!?どうしてですか!?」
「王子、ここは人助けのために一つ・・・・・・」
「一つ何だっ!?俺はそんな苦労をしてまで年増の姫と結ばれるつもりはないぞっ!?」
「王子とて若くはないでしょうに・・・・・・」
「余計な事を言うなっ!」
「地球に初めて降り立った時点で実はもう30―」
「即興で変な歌を歌うなっ!!?」
「ええっ!?そうだったんですかっ!!?あんなに童顔だったのに!!」
「そこも驚いてるんじゃねえっ!!俺は行かんぞっ!!」
『鬼―、人でなしー』
 二重奏。
「やかましいっ!」
『鬼―、人でなしー』
「やかましいと言ってるだろうがっ!!」
『鬼―、人でなしー』
「だからやかましいとっ!!?」
『鬼―、人でなしー』
「だああああっ!!!!!行ってやる!!!行ってやりゃあいいんだろっ!!!?」
「流石我が国の王子で御座います」
「有り難う御座います、王子!」
「光速で手の平を返すなっ!!」
 してやったり、といった表情の二人に王子は握り拳を震わせていましたが、一度承諾してしまったものは仕方有りません。やむなく王子は言いました。
「ち・・・・・・わかった、行ってやる!だが勘違いするな、俺は絶対にキスなんぞせんからなっ!そこの所を承知しておけよ!?」
 ブーイングを背中に受けて、王子は身を翻しました。お付きの者が兵士その二に言います。
「お前にも来て貰おう。俺達はこの国には不案内だからな」
「はいっ!」
 兵士その二は嬉しそうに応えます。が、次の瞬間、彼はあっ!と声をあげました。
「どうした?」
「忘れてました・・・・・・」
 兵士その二は至極真面目な顔で言いました。
「野菜に水、やって来なくっちゃ」


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