DB的眠り姫もどき童話風味U
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「ああっ!!?」
「貴方はっ!!」
 姫と兵士その二が声を上げます。
「ほっほっほ・・・・・・流石に驚いているようですね・・・・・・」
「ささ、先生どうぞこちらに」
 ふわふわと登場した悪い魔法使いは、隣国の王子に勧められて彼の隣に降り立ちました。
「どうもお久しぶりですね、姫・・・・・・いつぞやの私のプレゼント、気に入っていただけましたか?」
「おい、あの顔色の悪いガキは何だ」
「顔色が悪いと言うよりはペンキで塗りたくったように真っ白ですな」
「ああ、そんな感じだ」
「話を聞けーっ!!?」
 初顔の王子とお付きの者の言い草に、悪い魔法使いの怒りの破壊光線が炸裂します。
 さっ、とかわした王子とお付きの者でしたが、流石に相手が只者で無い事は理解したようでした。その目つきがにわかに鋭くなります(が、元から鋭い・・・・・・と言うより『悪い』ので、あまり変わりませんでしたが)。
「ようやく聞く気になったようですね・・・・・・ではもう一度」
「って、一番最初からですか!!?」
 たった今出て来た草むらに戻ろうとする悪い魔法使いに、兵士その二が突っ込みを入れます。
「皆さんがちゃんと私の話を聞かないからです」
「ああ、もう、ちゃんと聞きますから『もう一度』はやめてくださいっ!!」
 まあ、そこまで言うなら・・・・・・と、悪い魔法使いは改めて四人に向き直りました。
「何故姫を欲しいかという質問でしたね・・・・・・そう、あれは数年前、私が姫の誕生日パーティーに呼ばれなかったのに腹を立て、城に乗り込んだ事から始まります・・・・・・」
 ジェスチャーを交えて、悪い魔法使いは滔々と語り始めました。



「・・・・・・という訳で、私は隣国の王子と手を結び、姫の国の乗っ取りを・・・・・・って聞いてんのかコラ!!?」
「やったー!!私大富豪!!」
「僕は平民・・・・・・」
「くっ!!何故この王子である俺が大貧民なんぞに甘んじなければならんのだっ!!?」
「これで姫の十一連勝・・・・・・この先のそれぞれの未来を暗示しているようにも思えますな」
「何いいいっ!!?もう一度勝負だっ!!!」
「聞いてんのかコラと聞いてるでしょう!!?」
 トランプに夢中になっている四人に、悪い魔法使いが叫びます。
「は?ああ、なんですって?」
 兵士その二がようやく反応しました。
「やかましいっ!!今取り込み中だっ!!!」
 王子はまだトランプを続ける気のようでした。あまりに熱血しているため、いつの間にか超サイヤ人になっています。
「・・・・・・」
 悪い魔法使いは指先から一筋のビームを発射しました。そのビームは四人が座り込んでいるその中心にあった、まとめられたトランプの束を直撃します。ぼっ、と音を立てて、トランプは哀れな最期を遂げました。
「あーっ!!!」
「何しやがる、てめえっ!!?」
 わき起こるブーイングを無視して、悪い魔法使いは言いました。
「全く、貴方達は話を進めようという気がないんですか!?このままでは読者の皆様に愛想を尽かされますよっ!!」
「む・・・・・・それは不味い」
 ようやく立ち上がった四人に、悪い魔法使いはこほんと一つ咳払いをしました。
「仕切り直しですね・・・・・・では、もう一度。・・・・・・そう、あれは数年前、私が姫の誕生パーティーに・・・・・・」
「ってまたそのパターンですかっ!!?」
「今どのくらいトランプやってたっけ?私達」
「三時間はゆうに越えますな」
「つまりあっちはそれだけ喋ってたって事ね」
「ええい、肝心なところだけを言え!!」
 王子の要求に、悪い魔法使いはさらりと言いました。
「つまり、復讐の為に、ここにいる隣国の王子と姫を結婚させ、姫の国を乗っ取ろうという作戦ですよ。ほーっほっほっほっほ!!!」
「・・・・・・最初からそうやって簡潔に言え・・・・・・」
「悪役が真の目的を明かすには、それなりの語りというものが必要なのですよ。貴方も元悪役ならば、その辺の機微は理解なさい」
 そう言うと、悪い魔法使いはさっと両手を広げました。
「この私をないがしろにしてくれた罪は重いですよ、姫!!貴女の国は私が頂きます。覚悟なさい!!」
「嫌だって言ってるでしょっ!!?国はともかく、隣国の王子と結婚するのだけは私は絶対に嫌ね!!!」
「国はどうでもいいんですかっ!!?」
 思わず突っ込む兵士その二。しかし、その言葉に驚いたのは兵士その二だけではないようでした。
「何故だ!?」
 姫の拒絶ぶりに、隣国の王子が思わず声を上げます。
「何故私と結婚するのがそれ程までに嫌だと言うのだ!?私はこんなに美しいというのに!!」
(・・・・・・そのナルシストなところが嫌なんじゃあ・・・・・・?)
 兵士その二は思いましたが、口には出しませんでした。
 姫は微動だにしませんでした。彼女はすうっ、と息を吸い込み、はっきりとした声で只一言、こう言ったのです。
「フリルよっ!!!!!」
 隣国の王子にとてつもない衝撃が走りました。ショックを受けた顔で、よろよろと姫に近付いていきます。
「フ・・・・・・フリル!?フリルが嫌だと・・・・・・!!?」
「そうよっ!!いくら顔が良くてもそんなびらびらしたフリルの付いた服着て恥ずかしげもなく外を歩ける男に一生恋人なんて出来ないわねっ!!!」
 びっ!と隣国の王子を指差し、姫は裁判所で判決を下す裁判長の如く背筋を伸ばし仁王立ちになって、隣国の王子に容赦ない言葉を叩き付けました。続けて言います。
「そっちこそ!!私と結婚したいならどうしてさっさとうちの城まで来て私を目覚めさせなかったの!?悪い魔法使いと手を組んでいたんなら知ってたんでしょ!!?」
「・・・・・・ふ・・・・・・知れたこと」
 その質問に、即座に復活した隣国の王子が完全にギャラリーと化している悪い魔法使いを背景に、当然という顔をして言います。

「私より美しくない者にキスをするなどっ!!!」

「・・・・・・・・・・・・!!!!!」

 一帯にブリザードが吹き荒れた事に、敵陣営は全く気付いていないようでした。それを良い事に、姫を除く三名は即座に撤退を開始します。その時ほど、性格も思想も、そして良識も異なるその三名が一致団結したことは無かったでしょう。電光石火の素早さで微動だにしない姫の後ろに回り、(何故か丁度そこにあった)大きな岩の影に揃って身を隠します。その時の三名の動作は、まるでラインダンスを踊っているかの如く揃っておりました。
 そして、姫は。
 微動だにしていなかった姫の双肩が、いつの間にか小刻みにかたかたと震えておりました。顔を伏せ、その表情は読み取れません。ただ、もしもその時の姫のオーラを色で表したとしたら、それは必ず赤だったでしょう。燃えるような赤。怒りの炎の赤です。
「・・・・・・・・・・・・な・ん・で・すってえええええええええっ!!!!?」
 その燃え上がった姫は、後日王子に「そんな筈はないのに、もしかしたらそのままあの女が超サイヤ人になってしまうのではないかという錯覚を覚えた」とすら言わせたほど、凄まじい『気』を発していました。
「言うに事欠いて『美しくない』ですって・・・・・・!!?」
「え?い、いや・・・・・・ちょっとそれはまあ何と言うか、言葉のあやと言うか、誤解のよーな気がしないでもないかなー、という感じで」
 やっとその怒りに気付いた隣国の王子が言い訳(になっていない言い訳)をしても、既に後の祭りです。その時にはもう、姫の怒りのオーラが炸裂していました。
「言いやがったわね、たかがフリルの分際で!!!」
 フリルフリークの方々(いるのか?)に怒られそうな台詞を吐いて、姫はやおらしゃがみ込み、ドレスの裾に手を入れました。そして。
 次の瞬間、その手には(何故か)バズーカが握られておりました。サイズはゆうに対戦車用です。岩陰から見ていた王子が、非常識な展開に思わず声を上げます。
「あの女のドレスは四次元ポケットかっ!!?と言うか、何故あいつがあんなもん持ってるんだっ!!!」
「護身用らしいですよ・・・・・・ちなみにあのドレスの中には、噂によると拳銃から機関銃、ガトリング・ガン、手榴弾、発煙弾、催涙弾、爆薬など、実に数十を越える様々な危険物が潜んでいると云われています」
 王子のツッコミに、この中では最も姫をよく知る兵士その二がフォローを入れます。
「『云われて』って・・・・・・何故そんな伝説のような言い方になるんだっ!!?」
「本人以外、誰も本当のことを知らないからですよ・・・・・・姫のドレスの中は、うちの国の七不思議の一つに数えられてます」
「うむ・・・・・・正しい姿だ。科学者というのはああいうのを少なくとも一つや二つ持っていなければならん。ちなみに発射したら、ほぼ二分の一の確率で暴発だ」
「相変わらず訳解らないこと仰いますね、従者さん・・・・・・」
 その細い肩にいとも簡単にバズーカを固定し、姫は照準を合わせます。当然の事ながら、その照準は隣国の王子に合わせられておりました。
 隣国の王子が、新たな言い訳をする暇もありませんでした。
「ファイヤっ!!!」
 姫の決め(?)台詞と共に飛んでいった弾は、見事に隣国の王子を直撃しました。素晴らしい照準合わせです。運悪く隣国の王子の真後ろにいた悪い魔法使いごと、バズーカの弾は全てを呑み込んで爆発します。
「ちょ、ちょっとお待ちなさいっ!!捨て台詞さえ無しですかっっ!!?」
 悪い魔法使いのその台詞を最期に、二人は輝くお空のお星様となりました。
「・・・・・・」
 呆けた表情でそれを見ていた三名に、姫はふうと満足げに息をついて、さり気なく決めポーズなど決めつつ言いました。
 スマイル0円。
「さ!行きましょうか!」
『・・・・・・はい』
 無論、誰も依存を唱える者などおりませんでした。



 こうして、王子と姫は無事王子の祖国まで辿り着き、怒濤のハッピーウエディング(お付きの者談)を果たしました。
 そして、嘘もつき通せば誠。お付きの者と兵士その二は、それからも良好な師弟関係を保ったそうです。

 こうして、両国に平和が訪れました。めでたしめでたし。(本当か?)

    (おしまい)

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