江戸ラゴンボール ヤム太郎江戸日記
(1) <2> (3) (4) (戻る)

 鶴仙雑技団の凄さは噂以上であった。
 中でも評判の花形・天津左衛門と餃子丸の空中手妻や四本腕などそれはもう息を呑むばかりの様相であったという。
「いや〜、すごかったなあ悟空太!」
 芝居小屋から出て来たヤム太郎は上機嫌で悟空太に話し掛けた。が、意外にも悟空太は神妙な顔で、
「あの天津左衛門ってヤツ、すげえ気だった…」
「え?」
「ヤム太郎、おめえ感じなかったのか?四本腕になるとき、ものすげえ気だったじゃねえか」
「え?あ、ああ…そういえばそうだったかなあ。あ!まさか悟空太、あいつと闘うつもりじゃねえだろうなあ」
「ああ、戦いてえな。芝居が終わったらまた来てみっか!」
「やめとけって!また騒ぎ起こす気かあ!?」
 今までも『すげえヤツだ』と言って戦いを挑んでは騒動を起こして悟飯之介たちに怒られてきたが、当然懲りた様子はない。
「そっか…しょうがねえな。あ〜あ、あいつと戦いてえな〜」
 その頃、鶴仙雑技団の楽屋。
「ねえ、天津左衛門さん」
「…………」
「天津左衛門さんったら」
「……………………」
「天津…」
「なんとかならんのか、この名前っ!!」
「それはそれとして天津左衛門さん」
「フルネームで呼ぶな餃子丸!」
 花形の天津左衛門と餃子丸である。
「じゃあ天さん…どうかしたの?さっきから何か気になってるみたい」
「ああ…あの後ろの立見席にいた男を見たか?」
「あのとんでもない髪の?」
「そうだ。あの男…かなりの達人だな」
「へえ…天さんが見込むなんて珍しいね」
「ま、手合わせすることもないだろうがな……」


「………って訳でさ、すごかったんだぜ!」
「へえ〜っいいなあ、ボクたちも見に行きたいですね、ピッコ郎さん!」
「2人で行くというなら考えてもいい…」
「は?」
 ヤム太郎たちは亀はうすに戻り、まだ雑技団を見ていない悟飯之介たちに自慢話をしていた。
「それでよ、その天津……ってヤツがすげえヤツだったんだぜ!」
「まだ言ってんのかよ悟空太。オレはあの手の奴はいけ好かねえけどな…」
 その時である。
「てえへんだてえへんだ、悟飯之介、ピッコ郎いるか!!」
「クリ五郎さん、どうしたんですか!」
 慌てて店にやってきたクリ五郎は、呼吸を整えると言い放った。
「今朝の青之丞殺しの下手人が分かったんだ!!」


2001/06/03

(1) <2> (3) (4) (戻る)