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遠い日の花火
(戻る) 「フリーザさま、おいででございますかーっ!!」 と、突然ドアが開かれた。 「何事ですか、騒々しい」 フリーザ(第一形態)は『月刊地上げ』から目を放し、声の主を睨みつける。 ギニュー特戦隊であった。 ここ地獄にあるフリーザの邸宅には、フリーザ一家とザーボンさん、ドドリアさんが仲良く暮らしている。その隣にはギニュー特戦隊秘密基地があり、メンバー4人はもちろんカエルであるはずの隊長ギニューも元の姿に戻って一緒に住んでいた。 「フリーザ様!三途の川の川開きで花火大会があるのですが、ご一緒にいかがですか!」 見れば5人はハッピにパッチ、ねじり鉢巻と団扇で完全に祭フォーマルだ。どういう訳だかリクームだけ花笠音頭スタイルである。 「ほう、花火大会ですか…」 「花火とは懐かしいですねフリーザ様」 ドドリアと縁側で碁を打っていたザーボンが言った。 「よろしい、行きましょうか。直ちに用意しなさいザーボンさん、ドドリアさん!」 花火大会は盛況であった。 橋の上から見上げる者、屋形船から優雅に見物する者……当然フリーザは後者である。 見物客もまたお歴々揃いで、あちらを見ればガーリックJrこちらを見ればビビディ・バビディ親子。ナッパやラディッツらサイヤ人は花火など目もくれず露店のヤキソバかき氷イカ焼リンゴ飴に夢中である。 「意地汚いですねえ……それにしても美しい、こんな美しい花火は久しぶりですよ。ホホホホホ…」 「惑星ベジータ以来ですからね」 「ええ、あれとはまた違った趣がありますね」 「フリーザ様、次は花火で文字が出るそうですよ!」 ![]() と、川をまたがって光の帯が上がった。 「おお、出ますよ!」 「一体どんな文字が…?」 『孫悟空のバカヤロー!!!!』 「おおーっ!!」 「素晴らしい!」 「見事!!」 「そのとおりだ!!」 見物客全員の、割れんばかりの拍手と嬌声。悪人同士、心はひとつだ。 「素晴らしい…!やはり来てよかったですね。これを作った花火職人さんを部下にしたいくらいですよ」 「まったくですな!!」 「どうもドクターゲロとか言うらしいですよ」 そして次々と『ベジータのアホ!!』『クソガキ悟飯』『クリリン邪魔!』『元気玉反対』などの文字が上がるたび、見物客たちは惜しみない拍手を送った。感極まって滂沱の涙を流す者も続出…。 感動の花火文字が惜しまれつつ終わり、また通常の花火を打ち上げ始めた頃、フリーザ一行は岸に上がって露店見物と洒落込んだ。 「たまに下々の店をのぞくのも良いものですねえ……おや?あれは…」 向こうの方で、数人の子供たちが手持ち無沙汰そうにしている。 「セルさんのところの息子さんたちじゃありませんか」 「あ、フリーザおじちゃん!」 「どうなさいました、遊ばないのですか?」 「うん、お金ないんだ」 「お父様に買っていただけばいいのに…」 「パパ、花火嫌いなんだって。瞬間移動させられたらどうする!とか言って…」 「花火嫌いですか、うちのキュイさんと一緒ですよ…困ったお父さんですね。ザーボンさん!」 「はっ!」 「ジュニアくんたちにお小遣いを差し上げなさい」 「承知しました!」 「さすがフリーザ様、お優しい!」 「ホホホホホ、私は子供が好きですからね」 「さあ、そろそろ花火も終わりのようですよ。帰りましょうか」 「そうですね、もう遅いですから」 「しかし今日はとても良い日でした…特にあの花火文字!美しい、本当に美しいですよ…素晴らしい喜びです!」 「よろしければ私どもが喜びのダンスを踊りましょうか!」 特戦隊が祭り姿で意気込む。 「ふむ…そういえば以前またの機会をお約束しましたね。よろしいでしょう、拝見させてもらいますよ」 「はっ!ありがたき幸せ!!みんなーっ、フリーザ様に捧げる喜びのダンスだ!さあザーボンさんとドドリアさんも!!気合い入れていくぞーっ!!」 「オ―――――――――――――ッ!!!」 そうしてギニュー特戦隊と仲良し二人組みは、夜を徹して喜びのダンスを踊り続けた………………………… ちょっと後悔したフリーザであった。 |