★Treasure (1/2)

「ピッコロさあ〜ん!!デンデーっ!!ポポさーん!!」
ブルマから借りたのだろう、自動操縦のジェットフライヤーに乗って、悟飯が久しぶりに神殿に遊びに来た。
よく通る高い声が神殿中に響き、ピッコロ達も手を振ってその声に答えた。
青い機体は神殿の周りをくるりと一周して、彼らの前に降り立った。ドアを力一杯開けて、悟飯が元気よく飛び出して来た。
「ピッコロさん、お久しぶりです!」
「元気そうだな。」
「ハイっ。」
相変わらずの礼儀正しい口調と、元気そうな愛弟子の姿に彼の表情は自然と柔らかくなった。
「あはっ、デンデも久しぶりだね!」
「悟飯さんも元気そうでよかった!」
二人はお互いの両手をぱちぱちと合わせて、久しぶりの再会を喜んだ。
ピッコロは悟飯がポポにも挨拶をしている間、開きっぱなしになっているドアに目をやった。

するともうひとり・・・いや、もう二人の人影が見えた。
「なるほど・・・。舞空術で来なかったわけは、あれか。」
いつもはきつくまとめている黒髪を、今日は一つにしばっている。神殿に来るのは初めてだからだろうか、キョロキョロと珍しそうに顔をあちこちに向けていた。
足下と自分が今抱いている・・・赤ん坊に、全神経を集中させて彼女は神殿のタイルに足をつけた。
「あれ〜っ・・・。すんげえとこだなあ・・・。こんなものが空中に浮いてるだなんて・・・。」
顔をキョロキョロさせながら驚きの声を上げたのは、悟飯の母親のチチだ。そして、彼女の胸にしがみつくようにして抱かれているのは、ようやく首の座った悟飯の弟だろう。
悟飯が自慢げに話してくれた、悟天だ。

「おかあさん!こっちこっち!」
悟飯はチチの手をそおっと引っ張って、ピッコロ達の側まで連れてきた。チチは楽しそうに、『こらこら』といいながら、悟飯に素直に従った。
「ピッコロさん、デンデ・・・えへへっ、ボクの弟です・・・。悟天っていいます。」
彼はちょっとはにかみながら、弟の紹介を二人にした。
悟天は、小さな手をばたばたさせてチチから悟飯の腕に抱っこされた。よく聞き取れない言葉(?)を口にしながら、悟飯にしがみつく。

「うわあ・・・。ちっちゃいなあ・・・。」
デンデは初めてみる小さな『赤ん坊』に興味津々のようだ。ピッコロはと言えば興味がなさそうに、しかしいつもよりは幾分優しい目つきで悟天の事を見つめていた。
「ねえ、デンデも抱っこしてみる?」
「ええっ?」
デンデはびっくりしてピッコロの方を向き、そしてチチの方に向いた。
「だ、だめですよそんなこと・・・。ボクが抱っこして泣いちゃったら・・・。」
「そんなことねえだよ。おめえが神様なのけ?」
チチはにっこりして膝を折ると、目線をデンデとおんなじにした。

「おら、チチっていうだ。悟飯と悟天のかあちゃんだべ。いや〜それにしても・・・神様が、こんなにちっこい子だとは思わなかっただ・・・。けど、おめえすっごく優しい子なんだろ?悟飯ちゃんが言ってただ。」
「え、え・・・・・・?」
デンデは耳まで真っ赤になっていた。チチはそんな彼の様子を見てくすくす笑うと、悟飯から悟天を抱いて、デンデの目の前に持ってきた。
「赤ん坊は、優しいひとがわかるだ。ほれ、触ってみるだ。」
「は、はい・・・。」
悟天の頬にそおっとふれると、びっくりするくらい柔らかくてデンデは思わず手を引っ込めた。
「うわあ・・・。すっごく柔らかい・・・。」
落としたら、壊れそう。力一杯だきしめたらなくなってしまいそう。
悟天のあまりの柔らかさに、デンデはそんな事を考えた。
「悟飯さんも、生まれたときはこんな風だったんですか?」
「そうだべ。地球人は、・・・悟飯ちゃんも悟天も、半分サイヤ人だけっど・・・生まれた時はみーんなこんな風に柔らかくてふわふわなんだ。」
「そうなんですか・・・。」

ナメック星人は、生まれてすぐに自分の力で立ち上がることができる。地球人も同じような感じなのかな、と思っていたデンデにとって、この悟天の弱々しいくらいの柔らかさと、ひとりではなにもできない状態で生まれてくるという事が驚きだった。
悟飯さんも、悟空さんも、ずっとずっと前はこんな赤ん坊だったのかな・・・?
強いひとも、一番最初はこんな風だったのかな・・・?


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