★第14話 (1/4)
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――森の小路の俯瞰。響き渡る赤星の声。

赤星「やめろ黒羽〜〜っ!!!」

――森の小路店内。ギターを弾く手を止めてキョトンとした黒羽。

黒羽「何だ、赤星」
赤星「何だじゃねえ!もうストップ、歌やめ!!」
黒羽「そうか別な歌がいいか」
赤星「よくないっ、歌全面禁止!…これを見ろぉ」

――耳を塞いで身を低くしている有望。同じく耳を塞いでカウンターに突っ伏している黄龍。机の下に隠れている翠川。3人、そろそろと耳を開けて顔を上げる。

黒羽「何だお前ら、その格好は。オレが歌ってる間に襲撃でもあったか」
有望「あのね黒羽君、とっても言いづらいんだけど、あなたの歌って…」
赤星「黒羽……学生の頃から何度も言ってくどいようだが、お前の歌はやっぱり下手だ!!」
黒羽「なにぃ?」

黄龍「そんな言い方じゃ聞かねえよ赤星さん。おい黒羽っ!」(黒羽を指差して)「歌禁止!あんたの歌は歌じゃねえ、殺人音波だっ!!」
黒羽「ほほ〜……殺人音波たあ良かったね瑛ちゃん。それにしちゃあ元気そうじゃねえか、ええ? それと人を指差すのは礼儀知らずのすることだと、何べん言わせれば気が済むんだ、エ・イ・ちゃん!」

――黒羽、黄龍の耳を思いっきり引っ張る。
黄龍「いでででででで、オイお前も何とか言ったれテル!」
黒羽「そうだなあ、坊やの意見も聞こうか?」
翠川「あの、黒羽さんの歌って初めて聞いたけど…………」
黒羽「ん?言ってみな」
翠川「でっ」(視線を逸らして小声になる)「できればもう聞きたくない………」

――黒羽、満面の笑顔で翠川の頭を撫でる。
黒羽「そうかそうか坊や、正直でいいぞぉ」

――急に身を起こしてギターを肩に担ぐ。ドアの前に立って帽子の鍔を軽く上げる。
黒羽「お前らの言い分はよーく分かった! もう二度と聞かさんから安心しろ。歌の分からん連中に聞かせても意味がねえからな。あばよ、歌心ある皆さんっ」

――ドアを開けて、去り際にウインクを残し店を出る。
有望「く、黒羽君……」
黄龍「全っ然こたえてねーし」
赤星「あいつ、なんでああまで歌だけはダメかなあ……」(深く溜息)
翠川「………夢、壊れたなあ」

――店の隅の椅子に座っていた瑠衣、ココアを一口飲んで笑顔。
瑠衣「ステキな歌でしたね♪」
全員「ええっ!!」

――店を出てギターを担いで歩いていく黒羽。別段何とも思っていない様子。

タイトルIN『悪夢の旋律!小さな友情』

――スパイダル基地。司令室にBIと四天王。モニターでオズリーブスの戦いを見ている。
BI「ええい、消せっ!」

――マントを翻し背を向けるBI。空間から消失するモニター。
BI「不愉快な……!四天王たちよ!!」

――慌てて敬礼姿勢をとる四天王。
BI「今までの失態、陛下はお怒りであられる。貴様らもスパイダル帝国の将軍ならば、この償いに彼奴らを抹殺し、5人の首を献上してみせよ!!」
シェロプ「司令官、今こそ私にお任せ下さい。私の部下であれば…」
BI「黙れ、聞き飽きたわその言葉!」

――一歩前に出るアラクネー。
アラクネー「司令官……あたくしに考えがございます」
BI「以前のような杜撰な策ではあるまいな」
シェロプ「そうに違いありませんぞ司令官、ですから私に…」
BI「黙れ、黙らぬかっ!!」

――少し後ろでこそこそ喋るスプリガンとゴリアント。BIを見て首を傾げるゴリアント、肩をすくめるスプリガン。BI、気を落ち着かせるように溜息。
BI「………アラクネー!今回の作戦、そなたに任せようではないか。そなたの策が杜撰かどうかは今回の成果如何で決めても遅くはない」
アラクネー「ははっ!」


――森の小路。ボックス席で黄龍、翠川、瑠衣が騒いでいる。カウンターに赤星と有望。
赤星「まっ、ちょっと言い過ぎちまった気もするけどな…」
有望「そうよ。あの子たちは仕方ないかもしれないけど、あなたはもっと配慮すべきだったわね」
赤星「お前だって何か言ってたじゃねえか」
有望「あらっ、私は……そりゃあ、黒羽君が帰ってきたら謝るつもりよ」
赤星「でもあいつの歌はなあ…」
有望「確かにそれは事実ではあるけど……あら」

――厨房から葉隠登場。手にクッキー。
葉隠「焼けたぞ〜い!」

――席を立って集まってくる黄龍、翠川、瑠衣。
黄龍「お〜っ、うまそー!1個もらい!」
瑠衣「ダメよ、瑛那さん、まだ熱いもの」
翠川「オレ、熱くてもいいもんっ」

――1個口に入れる翠川。熱がって飛び回る。
瑠衣「ほーら」
赤星「ところで博士、厨房にいて大丈夫でした?黒羽の歌……」
葉隠「ん?ああ、いやいや、なかなかどうしていい歌じゃないか。お前も歌が分からんのお」
赤星「えっ!博士まで………ん?」

――葉隠の耳に不審なイヤホン。
赤星「何です、これ」
葉隠「ほ、補聴器じゃよ補聴器」
赤星「嘘言わんで下さいよ、そんなんしてないじゃないですか」
有望「補聴器にしてはおかしいですよ」(葉隠の顔を覗き込む)

葉隠「はっはっは、いや実はのお」(イヤホンを取る)「超小型超音波遮断装置なんじゃ」
黄龍「はあ?」
葉隠「ま、要するにこれさえしとりゃ黒羽君の歌も無害ちゅう訳じゃ」
黄龍「うわっ、ズル!!」
翠川「自分だけそんなんして〜!」
有望「そんな物まで作られるなんて…」
赤星「黒羽の下手クソもここまで来りゃ日本一かもな…」

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