★第17話 (2/7)
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「・・・・・・え・・・・・・じゃ」
瑠衣が思わず声を上げる。
「ぴったり。って感じだなあ。瑠衣ちゃん、今回は俺様達に任せときなって」
黄龍の言葉に瑠衣は慌てた。
「ちょっと、待って!!あたしだって・・・・・・!!」
「駄目だ。瑠衣」
赤星がぴしゃりと遮る。
「受験当日だろう?大丈夫、俺達四人だけだって十分何とかなる。心配するな」
「だけど!」
「瑠衣ちゃんっ!受験は一度しかないんだよ!?」
「一度じゃないわ!」
輝に向かって必死に言う。
「病気とかした人のために、もう一日だけあるの、受験日!その時受ければ・・・・・・」
「そのラストチャンス、本当に風邪でもひいたらどうするつもり?」
「お姉さま・・・・・・」
「それとも、ピンクはオレ達の実力を信じていないのかな?」
「・・・・・・!そんな」
「じゃ、いい子で勉強してるんだ。おじさんおばさんに無理言ってこっちに居るんだろう?志望校に合格できなくてどうする」
黒羽の一言に、瑠衣は完全に沈黙した。やがて大きく息を吐く。
「・・・・・・わかりました。みんな・・・・・・頑張って」
「まっかせといて!絶対に一度でケリ、付けるからねっ!」
輝の声に全員が頷く。瑠衣はぎこちなく微笑んだ。部屋の隅で作業をしていた田島が言う。
「全員、リーブレスを提出していってくれ。スーツに耐熱強化を施したいからね」
「りょーかい」
「頼むぜ、田島さん!」
「瑠衣ちゃん、君のも預かっておこう」
「はい」
「では、解散じゃ!」
葉隠の一言を境に、各人はてんでんばらばらに動き始めた。
「オズリーブスめ!!しぶとい虫けらどもだ……。まだ、奴らの本拠は発見できんのか!!」
首領Wの神殿。シェロプはコンソール・パネルをばん!と叩き、部屋にいる科学者達を怒鳴りつけた。
四天王にはそれぞれ、一定以上の設備が備えられているラボと一定以上の技術と知識を持つ科学者達が割り当てられている。そのラボで、科学者達はシェロプの激昂ぶりに身をすくませた。
「申し訳有りません……三次元世界の情報が少なすぎまして……」
「小娘……!」
シェロプの脳裏にアラクネーの姿がちらつく。無表情で愛想の欠片もない平民の小娘。
「情報を出し惜しみしおって。情報を提供する代わりに技術を寄越せなどとほざきおる……ええい、いまいましい!!」
『味方』でありながら『敵』。今、四天王同士の関係を表すのに一番適した語がそれだった。
資本主義。競争力が上がる利はあるが、それぞれの利害が一致しない場合、全体的に見れば目的の達成に大幅な支障が出る。ましてシェロプは身分を重んじる階級主義で、実力主義で四天王を構成してきた現司令官ブラック・インパルスとの間には考え方にも大きな齟齬があった。現在のスパイダルは全くと言って良いほど足並みが揃わず、遅々として作戦が進行していない状況だ。戦力的に見れば三日で壊滅させられる筈のオズリーブスにここまで手こずっている理由の一つがそれだった。
もう一つの理由が、首領Wの異常なまでの強行軍だった。怪人は元々この暗黒次元にいる生物に改造を施し、一騎当千の戦力として作り出すものだ。莫大な費用と手間が怪人一体につぎ込まれている。この暗黒次元を掌握する際、スパイダル軍は怪人を含め、戦力のほぼ全てを使い果たした。もっとも反抗勢力は徹底的に叩きつぶしており、その後の為政に影響が出ることは無かったが、暗黒次元を手に入れた首領Wは息付く間もなく、今度は3次元世界への侵攻を開始したのだ。軍部は戦力を整えるどころの騒ぎではなかった。現在の技術では、怪人を一体造り出すのに1ヶ月は掛かる。そして怪人を造り出す公的な権利を有するのは四天王以上の階級の者に限られていた。首領Wは手を下さず、司令官であるブラック・インパルスは今のところ司令官という責務を全うするため、怪人の制作には携わっていない。噂では他部への牽制のため一体だけ秘蔵の怪人を持っているというが、それも定かではない。現段階で実際に怪人を制作しているのは四天王のみということになる。一週間に一匹の割合だ。そのため、相手に戦力を立て直す時間を与えてしまっている。
もっとも、本来ならそれで充分な筈だった。3次元世界の生物は脆弱だ。最も知能の高い生物である人間でさえ、純粋な戦闘力としてはアセロポッドに遠く及ばない。残った怪人と四天王の各が僅かに持ち得る師団で侵攻し、最後に自分達が出ていけば、それで侵略は可能だった筈なのだ。
しかし、そこに出てきたのが、OZという組織だった。
「奴らの残党が存在し、あまつさえあのような抵抗をしてくるとは……」
「お怒りをお鎮めください、シェロプ様。御自ら依然放った怪人が一体、既に潜伏しております。そろそろ活動を始めている頃ではないかと……」
「確かにな。あれは私の持つ怪人の中でも特殊な部類に入る。あれが奴らをおびき出せればこちらのものだ。しかし調整に抜かりはないな?」
「勿論です。精神的には少々不安定ですが、ほぼ問題ないレベルです」
「シェロプ様」
通信士がヘッドフォンを耳に当てて報告する。
「通信です。暗号名『F』」
「何だと?」
シェロプの顔色が変わる。
「すぐに秘密回線に繋げ。後は任せるぞ」
「はっ!」
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