★第22話 (1/6)
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――スパイダル秘密基地。BIが光洛園遊園地のパンフレットの束を見ている。一番上の紙には「忍風戦隊ハリケンジャー vs 龍球戦隊オズリーブス」とある。すぐ側にゴリアント。脇にシェロプとスプリガンが控える。
BI「で、ゴリアント。お前の手下が集めてきたこのデータの意味は?」
ゴリアント「へえ。文字の解析はもう済んでましてね。オズリーブスとハリケンジャーってのの決闘が時々ここで行われるらしいんで」
スプリガン「ハリケンジャー? そりゃなにもんだ?」
ゴリアント「それも調査済みさ。前回の決闘の時、ちょっとアセロポッドを下見に入れてみたがなオレっちモンスター軍団に似たやつが、オズリーブスと戦ってたぜ。へっへっ‥‥ モンスターってのはどの世界でも役に立つって証拠だなぁ!」
シェロプ「ほう‥‥で、勝敗はどうだったんだ?」
ゴリアント「そ、それは‥‥」
シェロプ(バカにした声で)どの世界でも負け犬‥‥の間違いじゃないのかな?」
ゴリアント「やいっ そのひん曲がった口、もっと‥‥!」
BI「ひかえい! 二人とも! それで、ゴリアント、策は?」
ゴリアント「せっかくオズリーブスの対抗勢力があるんなら利用しない手はねーでしょうや。敵はハリケンジャーだけと思ってるところに、オレたちが加勢すりゃ、絶対だ。で、そのハリケンジャーってヤツは、ジャマになったらぶっつぶしゃあいい」
BI「なるほど、ゴリアント。その作戦、面白い。見事、やってみせい!」
タイトルIN「遊園地でドッキリ! 乗っ取られたヒーローショー!」
――良い天気。午後の「森の小路」。黄龍、ボックス席で新聞を読み、瑠衣はポトスの枯れ葉をとって巻き直してる。輝は入り口のガラスを拭き、赤星はTVを見上げながらぼーっとグラスを磨く。要は、ヒマそうな4人。
――と、ドアの外側に、輝より頭ひとつ近く小さなショートヘアの女性。ぴったりしたスリムジーンズに、芥子色のだぼっとしたトップ。長すぎる袖を少しまくり上げている。
輝(ドアを内側から開けて)「あ、ごめんなさい。いらっしゃいませ!」
茜「すみません。こんちには! 竜くん!」
赤星「え‥‥? あ、あれ、義姉さん!?」
――思わず席から立ち上がる黄龍、瑠衣。カウンターに歩み寄る茜
茜「ちょっと近くまで来たから寄っちゃった! 元気?」
赤星「うん。まあね。あ、みんな、紹介するよ。俺の兄貴の奥さん」
茜(ぺこりと頭を下げる)「赤星茜と申します。いっつも義弟がお世話なって‥‥」(カウンターから出てきて3人を紹介しようとする赤星を遮って)「あ、わかるわよ! もちろんこちらが桜木瑠衣さんで、黄龍瑛那さん、そしてあなたが翠川輝さんよね?」
瑠衣「初めまして! あの、お正月のお料理! すっごく美味しかったです!」
輝(歩み寄って茜の手をとり)「リーダーにいっぱいお世話になってるのこっちなんですっオレも、あのお料理とっても美味しくて、それに嬉しかった!」
茜「よかったー! 一生懸命作った甲斐あったわぁ!」
黄龍「どーも。いやー、なんか、イメージぜんぜん違ってたな」
茜(背の高い黄龍を見上げる。その身長差30cm!)「え? どんなイメージだったんです?」
黄龍「だって、赤星さんとあの親父さんのいる家ですよ。もっと厳しそうな人じゃないとやってらんないかなーと思ってたけど、こんな可愛らしい人だとはねー」
茜「うれしー! 聞いた、竜くん?」
赤星「黄龍、お前、人見る目、無い。こー見えて、実は、すっげーおっかねー‥‥」
――茜、いきなり赤星の肩のあたりを掴んで引き下げ、背伸びして思いきり頭をぶったたく。
赤星「‥‥ほらな‥‥‥‥」
――頭をさすりながら、涙目の赤星。笑い声で満たされる森の小路。
===***===
――光洛園のヒーローショー。土曜日で満員になっている会場。ステージには赤、青、黄の3人の戦士と二人の怪人、ステージの端には人質に取られた子供3人。本気で泣いているので、実はちょっと困っている戦闘員マゲワッパ!
怪人1「ハリケンジャー! お前達が動けばあの子供の命はないぞ!」
怪人2「はっはっはっ! どうだ、手も足もでまい!」
ハリケンレッド「きさまらっ」
ハリケンブルー「子供を人質にとるなんて、卑怯よっ」
ハリケンイエロー「あんなに泣いてるじゃないかっ」
怪人2「こら! マゲワッパ! 泣かす奴があるかっ」
マゲワッパ1(小声で子供に話しかける)「泣かないんだよ。すぐ助けがくるから‥‥」
響き渡る声「ジャカンジャ! 卑怯なマネは許さん!」
――ステージ3階に登場する5人の戦士。
怪人「なにものだっ」
レッドリーブス「レッドリーブス!」
ブラックリーブス「ブラックリーブス!」
イエローリーブス「イエローリーブス!」
グリーンリーブス「グリーンリーブス!」
ピンクリーブス「ピンクリーブス!」
レッドリーブス「地球の平和と光洛園の平和は、俺達が守る!! 龍球戦隊っ!」
5人「オズリーブス!」
――5色の煙玉が爆発。飛び降りてくる5人。レッド、ブラックが戦闘員を倒す間に、イエロー、グリーン、ピンクが子供達を救助。
レッドリーブス「ハリケンジャー! これで遠慮はいらんぞ!」
ハリケンレッド「助かったぜ、オズリーブス! よーし! みんな、いくぜ!」
――突然響き渡る拍子木の音。どこからか和傘を持ち出してくる3人。ハリケンジャーのキメポーズに入る。
ハリケンレッド「風が泣き、空が怒‥‥ おいっ どうしたっ!」
怪人1(突然頭を押さえて暴れ出す)「うわあああっ」
ハリケンレッド「なにー、どうなってんの?」
レッドリーブス「こんな台本、なかったろ?」
ハリケンブルー(中に入っている男性の声で)「ま、まずいんじゃないのか!?」
怪人2「おまえら! とめろ、とめるんだっ」
――怪人2、8人の戦士、戦闘員たちで怪人1を止めようとするがだめ。会場は怪訝な面持ち。そこに慌てまくっている館内アナウンスが流れる。
アナウンス「も、申し訳ありません! 本日のヒーローショーは中止いたします。別会場で振替のチケットをお渡ししますので‥‥
――パニック映像がTV内の映像に切り替わる。ニュースアナウンサーの声がかぶる。森の小路内のTV。ボックス席を寄せてサンドイッチなどつまみながら見ている4人+茜。
「速報です。本日、昼過ぎ、光洛園遊園地の子供向けのアトラクションで出演者の一人がいきなり暴れ出すという事故がありました。幸い観客にけが人はありませんでしたが、取り押さえようとした他の出演者3名と演出助手が打撲等の軽いケガを負い‥‥」
黄龍「ヘンな事故だな。暑くて頭おかしくなるよーな、陽気じゃねーしー」
輝「行った子供たち、なんか、がっかりしそう‥‥。可哀想だなぁ‥‥」
茜「がっかりなんてもんじゃないわよ。帰りなだめるの大変よ。子供って『じゃ、来週ね』なんて通用しないものね。このショーって会場入るまでが大変だし、親の疲労も三倍増ね」
瑠衣「へー、茜さん、行ったことあるんですか?」
茜「去年、竜樹が、ああ、うちの息子なんだけど、ガオレンジャーにはまっちゃったの! あれ、動物がやたら出てくる上に、レッドが獣医さんだもんで、もー、ダメで! で、2回ぐらい連れってたのよ。後楽園のショーに。面白かったけど、疲れたわー」
赤星(笑って)「竜樹、ほんと、動物好きだもんなー」
茜「ロボットがねー、みんな動物なの。おかげで、まだ4歳になってないけど、動物の英語名いっぱい覚えちゃったわ」
瑠衣「すっごーい! え、じゃあ、キリンとかゾウとかも?」
茜(くすくす笑いながら)「今度連れてくるから聞いてみてよー。『ガオジュラフ』とか、『ガオエレファント』とか答えてくれるから‥‥」
黄龍「なんか、いー話だねー! その"ガオ"って付いてるのがさ!」
茜「そーなのよー! いっそ、まんまにしてくれたらいいのにね。ガオマジロなんて、本気で、間違って覚えちゃいそうよ‥‥」
赤星「まったヘンなものを‥‥。まさかセンザンコウとかいねえだろうな」
茜「あ、でもガオハンマーヘッドはいるわよ!」
赤星「シュモク‥‥。ちょっと、どーでもいいけど、義姉さんのほうがはまってない?」
茜(ぺろっと舌を出して)「バレた? 小さい頃、弟と一緒に結構見てたのよね、あーゆーの!」
――茜、急にマジメな顔で身を乗り出す。
茜「でもね‥‥。私、ちょっと気になるのよ。このショー、一週間前にもヘンなことがあったの。今日のも昼過ぎってことは2回めだから、一週間前にヘンなことがあった演目と同じ、『ハリケンジャー対オズリーブス』ショーのハズで‥‥‥‥」
4人(声を揃えて)「オズリーブス・ショー!!?」
茜「え、みんな、知らなかったの、自分たちのショーやってるって?」
――4人、ふるふると首をふる。
茜「あのね、光洛園のヒーローショーって土日は1日4回やるんだけど、先々週ぐらいからかなー。1日のうちのどっかで1回、オズリーブスが飛び込んでくるようになったの。スケジュールは割に近くにならないと決まらないんだけど、それがもうすっごい人気なの!」
瑠衣「なんか、うそみたい‥‥」
輝「ホントにヒーローになっちゃった‥‥」
黄龍「赤星さん、いいのかよ? それ、ちょっと、まずかねー?」
赤星「確かにな‥‥。警察からひとこと言ってもらって‥‥」
茜「えー! だめだよ、竜くん!」
赤星「でもな、義姉さん。俺達、一応、秘密部隊なんだし‥‥」
茜「それはわかるわよ。わかるけど‥‥。子供たちにとって、オズリーブスって、やっぱり凄いヒーローなのよ! ショーって言っても、見てきた人の話じゃ、アクションにちょっと絡むだけみたいだし。それにあんなショーより、口コミのほうがよっぽど凄いわよ。はっきり言って5人の武器も乗り物も、完璧に把握されてるもの」
黄龍「た、確かに‥‥。オレがフリスビー使うって、えらい早くからしっかりバレてたもんな」」
茜「竜樹だって、ハリケンジャーはまだよくわかんないけど、オズリーブスには会いたいって、このショー、行きたがってるくらいなの。叔父さんがレッドリーブスだなんて知ったら、まず間違いなく15分は固まるわね」
赤星「‥‥‥‥‥‥頼むから、ぜったい言わないでよ!」
茜「ばかね。言うわけないでしょっ!」
瑠衣「それより茜さん、先週あったヘンなことってなんなんですか?」
茜「あ、そうそう! 先週はね、なんか強くておかしな戦闘員が二人ぐらい出てくるって、ヘンな演出があって。でも急に決まったのか、出演者の人がワタワタして、すごく不自然だったんだって。見てきた人から聞いた話で、ニュースにはならなかったんだけど‥‥」
輝「‥‥‥‥それって‥‥」
黄龍「‥‥‥‥やっぱり‥‥」
瑠衣「‥‥‥‥あれよねぇ‥‥」
茜「あれって‥‥?」
黒羽(いきなり割り込んでくる)「もちろんスパイダルですよ、茜さん」
赤星「黒羽! いつの間に!?」
茜「やだー! びっくりしちゃった! ご無沙汰してます。黒羽さん!」
黒羽「いえいえ、こちらこそ。で、ご一同、さっきショーで暴れた出演者に会ってきたぞ」
赤星「早ぇーっ!」
黒羽「当然だ」
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