★第23話 (5/8)
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――実験室の隣の部屋で待機している田島、黒羽、黄龍、輝。少し離れて竹本、田尾夫人。と、田島の通信機が鳴る。
田島(小声で)「田島だ」
サルファの声「A7ぽいんとニ反応ガデマシタ。すぱいだるト思ワレマス」
黒羽「おいでなすったか」
輝「リーダーと瑠衣ちゃん、どうすんの?」
黄龍「今、あの二人起こしたら、苦労がパアでしょうが」
竹本(いつの間にか側にきている)「でたのかい?」
田島「ええ、たぶん、次の段階に入ってくるはずです。警察で集めた例の球体‥‥取扱いに注意した方がいいかもしれません」
竹本「わかりました。そっちはまかせて下さい」(黒羽に向かって)「3人で行くつもりだな? 柴田か早見あたりに声をかけた方がいいか?」
黒羽(にやっと笑って)「ああ、早見のヤツにはジャマしにくるなって、言っといて下さい。じゃ」
――黒羽、敬礼もどきの挨拶で部屋を飛び出していく。黄龍、輝、あとに続く。
田尾夫人「あ、あの‥‥。何か‥‥?」
竹本「ああ、奥さん。心配しないで。この人たちにまかせておけば大丈夫ですから。すみませんが、わたしもちょいと本部に戻らんと。じゃ、田島さん、よろしく」
田島「そっちも気をつけて」
――部屋を出ていく竹本。田尾夫人に笑んで頷いてみせる田島。
===***===
――夢の中。相変わらず楽しそうな9人と2匹。
美雪「ねえ、赤星さん、今何時?」
赤星「4時ちょっと過ぎだけど」
美雪「じゃ、そろそろ行かなきゃ。友達と約束があるの」
佐川夫人「茂、あなたもそろそろ家にもどらないと。家庭教師の先生、きちゃうわよ」
茂「ヴィクロン先生、やさしいから、ちょっとぐらい遅れても大丈夫だよ」
佐川「こらこら、約束は破っちゃだめっていつも言ってるだろう?」
赤星「あの、変わった名前の先生ですね?」
佐川「ああ、スパイダルからの留学生なんだよ。とにかく熱心で‥‥」
美雪「あたしがこれから会うお友達もスパイダルから来たのよ! すっごく楽しいの! スパイダルって昔は怖い人たちと思ってたけど、ぜんぜんそんなことなかったね!」
――驚いた表情の赤星。思わず瑠衣を見ると、美雪から預かったカベルネを抱きながら夢中になって桜木夫妻と話している。さかんな手振りに左手首が見える。クリーム色のチーフが巻かれている。赤星の眉間が険しくなり、スラックスのポケットに手を入れる。取り出した青い首輪に"カベルネ"という文字と電話番号。
赤星「‥‥なんてこった‥‥。そう‥‥か‥‥」
――瑠衣の肩によじ登ろうとするカベルネ。くすぐったがる瑠衣。そのカベルネを抱き上げる桜木。それを横から奪い取って頬ずりする綾。通りかかる別の犬にじゃれつこうとするコロ。それを一生懸命押さえようとする茂と美雪。子供たちを笑ってみている佐川夫妻。
――赤星、なんとも言えない表情でその情景を見ているが、振り返って有望を見つめる。
有望「どうしたの?」
赤星「‥‥‥‥有望‥‥。俺ってさ、やんなるぐらい幸せなヤツだよな‥‥」
有望「え?」
赤星「茂くんも‥‥瑠衣も‥‥。夢に見たい幸せは‥‥もう、戻ってこない‥‥。‥‥‥‥なのに、俺は‥‥全部これからで‥‥‥‥」
――赤星、有望をいきなり強く抱きしめる。驚く有望。
赤星「だから‥‥‥‥俺がいちばん頑張らなきゃ‥‥。何があっても‥‥」(目を閉じて小声で)「‥‥だから‥‥ごめんな‥‥有望‥‥」
――赤星の腕の中で有望がきらきらと光を放つと消える。光の粒が赤星の身体にまとわりつくように消えると、いつもの服装に戻っている。
――赤星、瑠衣に近寄る。
瑠衣(綾からカベルネを抱き取りながら)「どうしたの、赤星さん?」
赤星「‥‥瑠衣‥‥その子、ちょっと‥‥」
瑠衣「あ、美雪ちゃん、帰るって‥‥?」
赤星「‥‥ああ‥‥」
――赤星、カベルネを抱き上げると、耳の近くから首のあたりまで掻くように撫でてやる。カベルネの一番好きなところ。気持ちよさそうにゴロゴロいうカベルネ。赤星、目を閉じて、カベルネの頭に顎をこすりつけるように、その声と毛並みを感じている。
――赤星、美雪に近寄ると、片膝をついてカベルネを差し出す。
赤星「はい」
美雪(カベルネを抱き取って)「ありがと、赤星さん」
赤星(青い首輪を差し出す)「‥‥美雪ちゃん、これ、見える?」
美雪「‥‥それ、ルーちゃんの‥‥? うそ‥‥なんで、それ‥‥」
赤星「美雪ちゃん‥‥‥‥わかってるんだよね‥‥?」
美雪「‥‥‥‥うそ‥‥。うそよ! ルーちゃん、ちゃんとここにいるものっ」
赤星「‥‥美雪ちゃん‥‥‥‥」
美雪「赤星さん、育て方、全部教えてくれたじゃないっ カベルネがお熱出したときも、ちゃんと来てくれたじゃないっ。なのにひどいよっ なんでそんなことっ」
赤星「ね、聞いて、美雪ちゃん‥‥。俺も小さい頃、犬を拾ったんだ。俺はその犬が大好きで、ぜんぶ面倒見てた。だけどある時、リードをちゃんと確認しないで散歩に行って、途中で金具が外れて‥‥‥‥。車にはねられた。たった1歳だったのに‥‥‥‥」
――泣き出す美雪。カベルネを強く抱き締めている。きょとんとしているカベルネ。
赤星「‥‥‥‥俺、さんざん泣いて‥‥‥‥。でも、世の中にはどんなに泣いても謝っても、取り返しがつかないことがあるんだって、そのときわかったんだ‥‥‥‥」
美雪「‥‥‥‥出て行った晩‥‥カベルネ、遊んでほしそうだったの。でも、グルが甘えてきて‥‥そしたら外へ行くって言って‥‥。あたし、帰ってきたらでいいやって思ったの‥‥。なんで‥‥。なんで、もっと‥‥、カベルネのこと‥‥、考えてあげなかったんだろう‥‥っ」
赤星「‥‥俺も今でもそう思うよ‥‥。なんであの時、きちんと確認しなかったんだろうって。でもいくら後悔しても戻ってこない‥‥。だから俺、大事なものはよく考えて、ちゃんと注意してこうって思ったんだ。全部うまくできてるわけじゃないけど、それを忘れないことが、俺があいつに謝れる、たった一つの方法だと思うから‥‥」
――涙をぽろぽろ流している美雪。肩に前足をかけるようにカベルネを抱きなおす。その毛並みに頬擦りする。その手の中でカベルネがきらきら輝きだして消える。美雪、自分の体を抱くようにして、泣いたままうつむいている。
赤星「‥‥美雪ちゃん。メルロとグルナッシュが待ってるよ」
美雪「‥‥カベルネの首輪‥‥‥‥。あたし‥‥持っていかなきゃ‥‥」
――美雪、両手を差し出す。赤星がその手の中に青い首輪をそっとおく。美雪、両手でそれを包み込んで頬ずりすると黙って向きを変えて去っていく。その背中が光の粒の中に消えていく。
――それを見送って、少し俯く赤星。ふと後ろを見ると、瑠衣が大きく目を見開いてその状況を見ている。左手を胸に押し付けて、その手首を右手で掴むようにしている。赤星立ち上がる。
赤星(悲しげな顔)「瑠衣‥‥‥‥」
===***===
――ある高層ビルの屋上。下を見下ろしている怪人スピンドル。両手を上げて子供たちに働きかける波動を送っている。全身がガラス細工にような感じ。
ブラックの声「そこまでだ、スパイダル!!」
――怪人が振り返ると、ブラック、イエロー、グリーンの3人が登場。
イエロー「子供たちを夢に閉じ込めて騙そうなんて、絶対に許せないぜ!」
スピンドル「たった3人で、このスピンドルさまに歯向かうつもりか!?」
グリーン「おまえなんか3人で十分だいっ!」
――スピンドルに飛び込んでいこうとする3人の前にいきなりアセロポッドの集団。そして黒衣に覆われたアラクネーが現れる(アラクネーは素顔を出さない)
ブラック「アラクネーかっ!」
アラクネー「スピンドル。早く子供たちを洗脳しておしまい!」
ブラック「させるかっ ブレードモードッ!」
――ブラック、アラクネーに切り込む。グリーン、イエロー、アセロポッドたちと戦闘。
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