★第23話 (6/8)
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――アラクネー両手から大量の銀の糸を放出。ブラック、ブレードでそれを薙ぎ切る。
ブラック「綿飴ごっこはいいかげんに‥‥‥‥なんだとっ!?」
――切れた糸が溶けてブレードにまとわりつく。ただの棒と化すブレード。
アラクネー「わたしの糸を甘く見るなっ」
――アラクネー、飛び上がりながらもう一度糸を放出。ブレードに巻きつく。今度はまったく切れない丈夫なもの。糸がものすごい力で篭手の中に戻っていく。
ブラック(ブレードを引き込まれそうになって)「ばかなっ」
――ブラックの手がゆるむ。アラクネーのフードから見えている薄い唇がにやりと笑うが‥‥。
アラクネー「なっ!?」
――ブラックが一瞬離したと見せかけた剣をまた掴み、アラクネーの力を利用してそのまま突きこんでくる。とっさにかわすアラクネー。黒衣が舞い上がり露出度の高い華奢な体が一瞬見える。
アラクネー「やるわね、ブラックリーブス!」
ブラック「お嬢さんこそ、なかなかのものですな!」
アラクネー「‥‥その生意気な口、二度と叩けなくしてやる」
――再び組み合っていく二人
――アセロポッドを次々と倒していくイエローとグリーン。
イエロー「ほいっ これで最後‥‥って、おい、グリーンッ!」
――既に一人で怪人に飛び込んでいるグリーン。
グリーン「トンファー・ブレードモード! いっくよーっ」
イエロー「ばかっ 一人で行くなってーのっ」
――グリーンが飛び上がって、スピンドルにトンファーを叩き込もうとするが、スピンドルの全身がフラッシュのように強烈に光る。
グリーン「わあっ!」
――グリーン、目が眩んで思わず立ち止まる。逆にスピンドルに攻撃されそうになるところをイエローに助けられる。
イエロー「だいじょぶかよっ!」
グリーン「目‥‥見えない‥‥っ」
イエロー「少しじっとしてろっ リーブラスターッ」
――イエローの撃ったリーブラスター、スピンドルの体内で反射して、収束して戻ってくる。
イエロー「なにーっっ」
――イエロー間一髪でグリーンを押しやって避ける。
グリーン「あ‥‥少し見えるようになった‥‥」
イエロー「ふーっ ちょい眩んだだけみたいだな、よかったぜ。しっかしこのプリズム野郎!」
――イエロー、リーブレスに叫ぶ。
イエロー「オズベース! やったらフラッシュをたいて眩しくて見えねー! 方法はっ!」
サルファの声「すーつノごーぐるニハのくとびじょん機能ハアリマスケド‥‥」
田島の声「そりゃ逆だ! 使ったら目がつぶれるぞ! 今の装備じゃフォローできん!」
スピンドル「それで終わりか。ではこっちから行かせてもらう!」
――スピンドル、太陽光を取り込んでそれを収束して撃ってくる。逃げ回る二人。
グリーン「イエローっ 普通の銃はっ!?」
イエロー「おーっ 冴えてるぜ、グリーン!」
――イエロー、コルトパイソンを出して撃つ‥‥が、スピンドルウィーヴィング・グラスを放り投げて、その銃弾を全部止める。
グリーン「すご‥‥」
イエロー「だーっ 感心してるバアイかーっ」
――ブラックとアラクネーの戦い。飛びすさったアラクネーめがけてチェリーを放つブラック。
ブラック「ブラック・チェリーッ!」
アラクネー「くっ‥‥!」
――アラクネー、避けられず受けようとするが、そこにスプリガンのロボット・バードが飛び込んでくる。チェリーにぶつかって爆発。
ブラック「誰だっ」
――空を見上げるが誰もいない。視線を戻した時にはアラクネーが消えている。
ブラック「くそ‥‥」
===***===
――再び夢の中。
赤星「‥‥瑠衣‥‥」
――赤星、瑠衣に数歩近寄るが、瑠衣が掌を上げてそれを止める。瑠衣、大きく深呼吸。瑠衣の後ろ、桜木夫妻。少しぼやけた感じで、それでも瑠衣をじっと見ている。
――瑠衣、両親と子犬と楽しそうにしている茂を見つめる。ゆっくりと両手をあげて何か願うように目を閉じると、その手の中にハーモニカが出現する。赤星目を丸くするが、唇を引き結ぶと、少し下がる。
――瑠衣、茂に近づく。
瑠衣「ねえ、茂くん。また、ハーモニカ聞かせてくれる?」
茂「あ、いいよ!」
――茂、ハーモニカを受け取り「埴生の宿」を吹く。茂の母がハーモニカに合わせて歌い始める。澄んだ歌声。思わず聞き入る瑠衣と赤星。茂、目を閉じて、何かに憑かれたかのように吹き続けている。
――少し俯きかげんだった瑠衣が顔を上げる。大人びた表情。どこからか聞こえてくるギターの音(第14話で使用した黒羽のアレンジ)。茂、驚いて、ハーモニカから口を放す。歌が止む。
茂「‥‥お姉ちゃん‥‥やめてよ‥‥」
瑠衣(優しく)「‥‥何を?」
茂「‥‥ギターだよ‥‥。ボク‥‥知らないもの‥‥。ギター‥‥嫌い‥‥‥」
瑠衣「このギターを弾いていたお兄さんのことも嫌い?」
茂「‥‥‥‥そんなこと‥‥ない‥‥けど‥‥」
――茂の手の中でハーモニカが汚れてひしゃげていく。驚く瑠衣。茂、それを両手で握りしめる。
茂「‥‥あ‥‥れ‥‥。なんで‥‥っ」
――すっかり吹けなくなってしまったハーモニカ。それを抱え込むようにうつむく茂。佐川夫妻、少しぼやけた感じになって無表情に立っている。
茂「‥‥ボクの‥‥ハーモニカ‥‥。‥‥あのとき‥‥家にあって‥‥」
――瑠衣、茂の両肩にそっと手を置く。
瑠衣「茂くん‥‥。あたしのパパとママもね‥‥、茂くんのパパとママと同じ事故で死んだの」
茂(思わず顔をあげる)「え‥‥!?」
瑠衣「だから‥‥茂くんの気持ち、わかる気がするの‥‥」
――瑠衣、すっと仰向く。光、空、木々の枝と葉‥‥。独り言のように‥‥。
瑠衣「怖い夢の時は、どれだけ起きたくても起きられない‥‥。見たことも、見てないことぐるぐると話が進んでいって‥‥怖くて、悲しくて、悔しくて‥‥、なのに起きられない‥‥」
――涙が瑠衣の頬を伝って茂の手に落ちる。茂、瑠衣の胸に顔を埋めている。嗚咽が漏れている。
瑠衣「楽しい夢の時は‥‥‥。なんだ、死んじゃったなんて、夢だったんだって、いつも思う。そのくらい楽しくて‥‥ほっとするよね‥‥‥‥なのに‥‥‥‥」
――瑠衣、茂の身体に腕を回す。声が震えている。
瑠衣「‥‥なのに、目が覚めちゃうんだよね‥‥。起きると‥‥なんで‥‥いないのって‥‥‥」
――茂、声をあげて泣き出す。泣きじゃくる茂を強く抱き締める瑠衣。見ている赤星も涙がこらえきれない。
瑠衣「‥‥ごめんね、茂くん‥‥‥‥。でもね‥‥あたし、最近は、こう思うようにしているの。楽しい夢は‥‥パパとママがくれるご褒美なんだって‥‥」
茂「‥‥どういう‥‥こと‥‥?」
瑠衣「パパとママはもういない。でも、あたしの心の中にいるパパとママがどんな時に喜んで、どんな時に悲しむか、あたし、知ってるの。だからね、二人が悲しまないようにしてあげたい。頑張ったらパパとママが、よくやったねって夢で出てきてくれるの。そうするとね、起きた時、パパとママがいなくても、また頑張ろうって思えるの‥‥‥‥」
――瑠衣、茂の肩に手を置くと身体を少し離してその顔を見つめる。
茂「‥‥ボクも、知ってる‥‥。ずるいことしない‥‥。約束守ること‥‥。人に優しくすること‥‥」
――瑠衣、微笑んで茂の頬に自分の頬をつける。
瑠衣「あたし、茂くんのこと大好きよ。黒羽さんもあなたが大好き‥‥みんなも‥‥。悲しいのは我慢しなくていい。いっぱい泣いていいよ。だけど、パパとママはこの世にいなくても、あたしたちは一人じゃない。あたしたちを大好きな人がいるから‥‥」
茂「‥‥‥‥ボク‥‥起きなきゃダメなんだね‥‥」
瑠衣(微笑んで)「‥‥ずーっと寝てたら、お腹すいちゃうよvv」
――茂、瑠衣に少し笑いかけると、ぱっと振り返って両親の元に走っていく。茂、両親の身体に両手を回すようにする。
茂「お父さん、お母さん、ボク、帰る‥‥。またね‥‥」
――両親を見上げる茂。少し透明がかりはじめる両親。微笑んで茂を見ている。茂、歪んだハーモニカを父親に渡すと、二人の間を突き抜けるように駆けていく。輝いて消えていく茂。それを優しく見送った佐川夫妻が消える。
――茂の消えたあとをしばらく見ている瑠衣。赤星の視界の中の瑠衣の横顔、涙で濡れている。瑠衣、少し俯き、また顔をあげると、くるりと向きを変え、自分の両親に向かって歩いていく‥‥。
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