★第28話 (2/18)
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「つまり、ヒトの造りにかなり近いって言う事」
星加有望は、久々にホームグラウンド、国立物性研究所の自分の研究室で、赤星と若手2人組に今回の事件の説明をしている。
特警が「逮捕」したという、ディメンジョンストーンを持たないアセロポッド。不審に感じた特警は、アセロポッドのデータを採集してOZへ送ってきた。OZの技術者たちはロボの補修・改良に忙しいため手が回らず、と言うより、
「せっかく近くまで来ましたんで、OZ関係者の博士に直接渡そうと思いまして!」
と、わざわざ早見刑事が資料を渡しに研究所までやってきたのだった。どこでここに有望がいると聞きつけたのかは分からないが、聞き込みでもしたのかもしれない。
「あの、これからも頑張って下さい!本官、博士の活躍を応援しております!」
そう言って、資料の説明もそこそこにバラの花束を手渡していった早見刑事は、一人で浮かれたまま帰って行ってしまった。
「有望、どういう事だ?」
「組織構造がヒトとほとんど同じなの。見て、タンパク質が変性したような組織・・・・最初のアセロポッドとも、そしてストーンを持たない新型にも、こんなことは見られなかったわ」
「お姉さま、て言うことは・・・」
「そう、このアセロポッドは三次元の地球上の哺乳類って言うことよ。だから既存のアセロポッドより弱体化してしまったのね。特警の人たちがそう言ってらしたみたいに‥‥」
追跡した早見は足が遅いと感じ、直接逮捕した田口は動きが悪いと評し、とどめをさしたらしい柴田は俺たちゃ普段あれほどヘボの相手はしていねえ、と証言した。
「でも主任っ、スパイダルの奴ら、どうしてわざわざ弱いアセロポッドなんか作ったの?」
「なんとも言えないわ。ここじゃ詳しい事まで調べられないし。ベースで本格的に調査しないとね」
有望はそう結論し、資料と上着を持って立ち上がった。
研究所の外に出てみると、もうだいぶ日が傾いていた。
「あら、随分遅くなっちゃった・・・早く戻らないとね」
「お前の運転じゃ明日になっちまうぞ。俺が運転してくよ」
「いいわよ」
言い合いながら研究所の門を出かかったが、ふと赤星の眉が訝しげに動いた。
「どうしたの?」
「いや・・・なんかヘンな奴が」
視線でその先を示した。
門から出て建物なりにまっすぐ行った突き当り、ちょうど研究所の横手になるところに、男が一人立っていた。わりあい長身で、細身ではあるが肩幅があるので大きく見える。黒いズボンに黒っぽいジャンパー、黒いキャップにご丁寧にサングラスまでしている。その出で立ちで、研究所を見上げたり、考え込むように足元を見たり、動物園の熊のようにうろうろしたり。普段から不審人物には気を使うようにしているが、これはあからさまに怪しい。特に、今は有望が一緒にいるのだ。赤星は少し構えた。
「知ってる奴か?」
「いいえ・・・でも確かに変ね、誰かの知り合いの方とも思えないわ。・・・・・まさかとは思うけど、今回のアセロポッドがらみでスパイダルの」
「じゃ、あいつもアセロポッドか何かっ?」
「とにかく、放っておいていい事もなさそうね。単なる不審人物だとしても、研究所の人間としては見過ごす訳にいかないわ」
と、有望は大股に男に向かって歩き出した。
「お、おい有望・・・・!」
赤星は腕を伸ばして追い縋ったが、有望は構わず歩を進める。
「そこの方、当研究所に何か?」
大きめの声で言うと、男はようやくこちらに気づいたようで、ビクリと肩を躍らせてこちらに顔を向けた。
「お客様でしたらこちらの正面玄関からどうぞ」
カッ、とハイヒールの踵を鳴らし、男の目の前に立つ。
「あ、あのすいません・・・・いや、その・・・・」
有望の態度に加えて、背後の赤星ら3人も、いずれ後ろ暗そうなこの男に威圧感を与えたのだろう。男は後ずさりしながら、無実の証明のように両手を広げて胸の前で軽く振って見せた。と、その手が止まる。止まった手はしばらくして、ゆるゆると顔まで上がり、サングラスの縁を取り鼻先まで下ろした。
「・・・あんた、星加有望・・・か・・・?」
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