★第31話 (1/9)
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鮮やかなオレンジ色の筺体の中に部品を組み込んで行く。デスクの上には細かいパーツがまだ山になってるが、今回は既にテストされ、実稼働済みのパターンだからラクだ。こういった時間も悪くはねぇ。何も考えずにそのことだけに没頭できる。

と、ちょっと首の後ろにいやな感じが走ってオレは振り返った。入り口で小柄な白いマントの上の金髪頭が、青い目でにっこり笑っていた。
「すまないね、機甲将軍。ノックもせずに」

ドアはねえんだからノックのしようもねぇんだよ。参謀のあんたでなけりゃ、とっくにとっつかまってる。ただ「邪魔するぞ、スプリガン」っつって、入ってくりゃいいんだ。

……でもその気障ったらしい薄い唇が、あの人と同じ台詞を吐いたら、それはそれでイライラしそうな気もする……。

「いえいえ、ご遠慮無く。どうぞお入りください、司令官」
いつまでも表面だけの親しみ易さをまとい続けるこの男に、オレは慇懃な物言いで返した。
ファントマ。この優男が、仮にもあの黒騎士の後釜だってんだから恐れ入る。とにかく今はこの若造(実際の歳は不明だが)がスパイダルの参謀で、オレに命令を出す人間だ。

「これがもうすぐ出せると言っていた怪人?」
「数があるから手間どっちまいましたがね」
色白な顔に怪訝そうな表情が浮かんだので、壁の方に向かって顎をしゃくって見せた。姿形もさまざまな4体のアンドロイドが静かに出番を待っている。
「まさか……、これらを全部?」
「そう。今回はこの5体、まとめて全部出す」
参謀はひゅーと口笛を吹いた。
「これは凄い。ブラックインパルス殿亡き後、貴方が落ち込んでいるのではと心配していたけど、杞憂だったみたいだね」

オレは金属でできた自分の顔にちょっとだけ感謝する。表情を作りたくても作れないこの顔に。
厳密に言えばこいつら、きちんとした怪人じゃない。こんな短時間に怪人を5体も作れたら苦労はねえや。作業用のアンドロイドを戦闘用に改造しただけ。ぎりぎりまでな。面白い仕掛けも色々してある。これで…………。

オレの沈黙をどう解釈したのか、参謀は神妙な表情を浮かべた。
「いや、これは失礼した。ただ私は、貴方こそがブラックインパルス殿の仇をとってくれると思っていたから……」
「仇……」
「偉大なる前参謀を殺めたオズリーブスに死を。貴方もそう思ってるんだろう?」
「……ああ。もちろんだ」
参謀はまた笑った。オレにはヒトの笑顔を見る機会はそうは無いが、見ることは嫌じゃない。だのになぜ、この男の笑顔は好きになれねえんだ?

「いい知らせを待ってるよ、将軍」
部屋を出て行く白いマントを見送りながら、オレは追い出していたはずのもやもやが、またぞろ頭に舞い戻ってきたのを感じてた。

結局、何度だ。
憧れの黒騎士と戦場で肩を並べて戦ったのは。

自分が前線に出て行くにつれてあの人は中央に残るようになった。だから数えるほどだ。本当にあの人の背中を任されたのは……ただの三度。その時だって守る以上に守られたがな。

まったくなんて強さだ、化け物だ。

このオレがそう思う男なぞ、そうは居ねえ。オレはまだ、あの人を越えたと思ってねえ。

ブラックインパルス。疾風の黒騎士。

それが奴らに倒されたなんぞ、信じられねえ……。
あんな連中に、あの人が殺されたなんて……

……もしかしてオレは、確かめに行くのか?

あの黒騎士を葬る資格が、奴らにあるのかどうかを……。

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