★第31話 (2/9)
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「すぱいだる波検出! ぽいんとL7!」
サルファが高いトーンで叫んだ。聞いてたオレは思わず叫び返しちゃった。
「そ、それって、ファンタジー・ランド!?」
「輝サン、大正解! ミナサン現場ニ急行シテクダサイ!!」
んなモン、よく覚えてんな〜と言ったエイナにいーっと返して、オレたちはオズブルーンに乗り込んだ。ほかのポイント番号なんて覚えてないけど、ここだけは覚えてるよ。半年近く前にスパイダルが現れてめちゃくちゃにしちゃった遊園地。とーこがお気に入りの場所だったからね。
いろいろあって実際に改修が始まったのは事件の後しばらく経ってからだった。だから今はまだ工事中。でも、とーこは今からオープンを楽しみにしてるんだよっ? それもあって、余計ドキドキしてたのかもしれないけど。
「…やな感じ……」
オズブルーンの中でレーダーをのぞき込んでたエイナがもごもご言って、リーダーが尋ねた。
「どした?」
「ディメンジョン・ストーンの反応が6つもあるぜ」
「旧型のアセロポッド……」
「だといいけどな」
瑠衣ちゃんにそう応じた黒羽さんの声には、そうじゃないだろう感が漂ってる。
「またおびき出しか…?」
リーダーの声がちょっと堅くなる。怪人になって亡くなったリーダーの友達がこの手を使ったばかり。オレのカラダもまだ青くなってるとこが有るけど、リーダーもきっとそうだろうな……。
待ち伏せなのか、アセロポッドなのか、それとも本当に怪人がたくさんいるのかはわからない。でもオレ、居るのはスプリガンじゃないかってなんとなく思ってたの。スプリガンと怪人が暴れた遊園地。スプリガンがピンクをわざと庇った場所。意味はないよ、ただのカンってやつで。でもオレの胸ん中がざわざわしてた一番の理由がこれだった。
着装して観覧車の前の広場に踏み込むと、思った通りスプリガンが居た。観覧車を背にただ立ってる。金属のボディに強い日差しが反射して、妙に明るい色に見えた。そしてその後ろに大小取り混ぜて5体の怪人がいる。何かを壊してるワケじゃない。オレたちを待ってたんだ。
「来たな。オズリーブス」
「なんのつもりだ、スプリガン?」
「分かり切ったこと、聞くんじゃ、ねえ。キラークィンテット」
スプリガンの金属の手がカクカクと動くと怪人たちが前に出て来た。5体とも人間よりちょっと大きいぐらいかな。姿形はいろいろで……、つまり量産タイプじゃない。
これってさすがにヤバイかな。ちょっとだけ頭の芯がしびれた感じになる。ヤバイ時ってこうならない? でもまあ、似たような事はあったよなあとか、頭ん中には冷静に考えてるオレもいるんだよね。
「カラフルなアセロポッドじゃねえか」
リーダーの声はいつも通り落ち着いてる。確かに怪人はカラフルだった。オレンジのオニオコゼみたいなのとか、アルミ箔のマントを着てるみたいなヤツとか。紫のは筒みたいで赤いのはなんかぶよぶよしてそう。真ん中の青いのが一番人間っぽい形をしてる。
「てめえらに合わせてな。平等に相手をしてやらんと、外に行かせるぜ」
スプリガンの声は低くて陰気な感じだった。前会った時はどこかふざけたようなしゃべり方だったけど、今日は違ってた。
「また俺様達が目的かよ」
イエローの声は低い。試されるみたいなのが大ッキライなんだよね。オレの隣にいるブラックもちょっと体勢を変えた。怒った時のオーラがゆらゆらしてる。でもリーダーの声はすごくあっけらかんとしてた。
「そっかぁ。俺達狙いならラッキーだ。そのコトバ、守れよっ!」
言い終わらないうちに、リーダーはもうスタートを切ってた。
つられて動こうとしたオレたちをブラックの手が遮る。そういやリーダー、「行くぜ」って言わなかったっけ。今まで無いシチュエーションだから、ちょっとでも手の内を見る時間を作るつもりなんだ。
「幸運か。確かに。懲りないヤツだ」
ブラックが小さく笑う。オレたちが目的なら危ないは危ないけど、逆言えば戦ってる間に他で何か起こる可能性が少ない。それをラッキーっていうのがリーダーらしい。
リーダーがまっすぐ向かったのは真ん中の青いヤツ。怪人の動きは速かった。かなり早い拳が繰り出される。バックステップで避けたリーダーの手にはブレードが握られてる。相手に向かって突き出すと、怪人の青い拳に熊手みたいなものが現れ、それを振り回した。それをブレードで弾いたリーダーは相手の肩を蹴り飛ばして次の怪人に向かう。アルミ箔マントはリーダーからあっさり逃げた。ホバークラフトみたいに地面を滑るタイプだ。
そこにオレンジのトゲがたくさん飛んでくる。オニオコゼだ。少しブレードで払ったけど、残った分がリーダーの身体にくっついて爆発した。倒れたリーダーの足に間髪入れず絡みついたのが紫色の触手。筒型紫ロボットは手以外にそんなもんまで持ってるんだ。一度は思いっきり地面に叩きつけられちゃったリーダーだけど、二度目はブレードで触手を薙ぎ切って離脱した。
だけど観察時間はそこで終わり。怪人達はリーダーを最後の赤いのに任せてこっちに向かってきた。伸びてきた紫触手をブレードで迎えたのがブラック。飛んできたトゲをオレはトンファーで叩き落とした。視界の端で青と黄色がごちゃっとなって、銀色マントがピンクに迫ったのが分かったけど、あとはもう、自分のことで精一杯になっちゃった。
オニオコゼ怪人のトゲ。やたら飛んでくる。いったいどれだけ持ってんだよっ! 針みたいな奴だけじゃなく、ずんぐりした三角っぽいのも混ざってる。でも全部見切れる程度だからブレードとトンファーで全部弾き落とせるけどね。オレの周りでぼんぼん爆発して風圧が凄いけどダメージは無し。ほんとは相手に叩き返したいとこだけど、微妙にその余裕が無いのがアタマに来ちゃう。
と、煙の中からにゅっと伸びてきたオレンジの手がオレの左手首を掴んだ。そのままぐっと引き寄せようとする。オレは右のブレードで相手の腕を突くと同時に、相手の身体を蹴り飛ばして間合いを取った。
次の瞬間、至近距離から発射されたトゲが押し寄せてきて、もう払うどこじゃなかった。
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