★第31話 (8/9)
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上か、横か!
スプリガンは身体を開き気味に、両手ででかい剣を水平に振り回した。オレの進行方向とたくさん交わる面。そう来ると思った!
「トンファー・ブレードモードっ」
オレは相手の両手と柄に飛び乗るとそれを思いっきり下に蹴り飛ばして飛び上がる。スプリガンのごつごつした頭に三日月のブレードを叩き込んだ。
でも避けられた。ブレードは左の肩先にちょっと食い込んだだけだ。カーブしたエッジを中心に、伸身宙返りで降りたオレの腹にスプリガンの回し蹴りが飛んできた。
「ぐ、ふ……っ」
息を整えるヒマもない。剣を振りかぶったスプリガンが文字通り降ってくる。オレは慌てて避けた。くっそぉ。当たり前だけど、やっぱ怪人とは違うや。
微妙にぶつかり合っては離れる。芯で受けようものならルートンファーごと叩き割られそうな重さ……。オレのほうはだんだん疲れてくるけど、スプリガンはなんとも無さそうなのが困ったもの。
ただ。
スプリガンの太刀筋は凄いけど素直だった、黒羽さんの方がよっぽど油断ならない…ってのもヘンだけど。で、もう一個。
(なんで銃を使わないんだっ?)
こいつの得手は銃のはず。だいたい動く武器庫みたいなヤツなんだから。だのにさっきから剣と手足しか使ってない。何か企んでるのかな。くそ〜、気になっちゃうよ。
そうだ。そーゆー時は!
オレはざっと後ろに跳びのいて距離を稼ぐと怒鳴った。
「おい、スプリガン!」
スプリガンの動きが止まる。
「なんだ、小僧!」
思わず小僧じゃないぞっと言いそうになった。そんなこと言ってる場合じゃない。
「なんで銃を使わないんだ!」
スプリガンが動きを止めてバカにするように言った。
「使ったらすぐ終わっちまうだろ」
「なんだよ、それ! どーゆーつもりっ!?」
スプリガンがびゅっと大きな剣を振った。
「これが……。司令官の、誇りだったからさ……」
司令官、司令官……って? ……もしかしてブラックインパルスのこと、か? とっさに頭の中がゴチャゴチャしてきた。なんか聞きたいけどどうしたらいいかわからないような……。
いきなりスプリガンが言ってきた。
「オレも聞きたい」
「なんだよっ?」
「このまえお前が庇ったガキはお前のガキか?」
なっ、何言うんだよ、このロボっ!
「ちっ、違うよ! オレ、まだそんな歳じゃないよっ」
「お前達とは関係の無いガキなんだな」
意味、判ってないし!
「そうだよっ しつこいなっ」
「じゃあ、なんで庇った」
「巻き込まれたらケガしたり、ヘタしたら死んじゃうだろっ」
「そりゃそうだな。でもなんで庇った」
「だから! あの子達になんかあったらどーするんだよ! もう、何が聞きたいんだよっ」
「ガキどもがあの場に居たのはお前たちのミスじゃねえ。だからお前達があいつらを助ける理由は無い。だのにお前達は無理してあのガキを助けようとした。あんときゃたまたまいい方に転んだのは認める。だがな。お前はかなりの確率で死んでた。それが解ってんのか?」
オレは考え込んだ。スプリガンはオレの答えを待ってる。別に油断させて襲おうとかそんなこと思ってるワケじゃない。それは、判る。ホントに知りたがってるんだ。
「………スプリガン。あんたは、何のために戦ってるの? この世界を征服したいから?」
「ちょっと、違うな。……オレは……勝ちたいんだ。お前は、グリーンリーブス?」
「オレは……護りたいからだよ。オレたちはこの世界を護りたいからだ」
「そんな模範解答が役にたつか。"世界"なんぞ、お前に見えてるわけもないだろ」
「目の前で誰かが危なかったら、それを護りたいってのは自然なことなんだよ。初めて見た子供たちだってそうさ。親や兄弟や仲間ならもっとそうさ。そして世界はそれがずーっと繋がってるだけだから……。だから護る! オレたちはそーゆーふうに出来てるんだっ!」
「だあああっっ!」
横たわった沈黙がでっかい声で破られた。見るとリーダーが青い奴の懐に飛び込んだ所だった。振り抜いたリーブライザーが相手の胸部をぶち破っている。爆発の中から飛びのいたリーダーが、身体にまとわりついた黄色い切れ端や割れた面をむしり取って捨てた。
「レッドリーブス!?」
スプリガンが驚いて叫ぶ。
もう一つ爆発音が響いた。まるで時代劇の対決シーンみたい。爆発の炎と煙をバックに輝くブレードを手にして立ち上がったブラックリーブスは、ぼろぼろになった赤いスーツを破り捨て、おもむろにチェリーに矢をつがえた。
「ブラックチェリー!」
狙いを定めた矢は、空中でチャクラムの軌跡と入り交じる。それは触手を殆ど切られた紫のボディに吸い込まれた。爆風の向こうから黒羽さんそっくりの敬礼もどきを返して、イエローリーブスもまた自分のマスクを外した。エイナが髪を掻き上げるいつもの癖が目に浮かぶみたいだった。
「貴様ら、つまんねー小細工しやがって!」
スプリガンが手をあげる。あっと思った。
「ピンクっ。ダメだ、止まってっ」
銀色マントに打ちかかろうとしてたピンクが急停止。その眼前で怪人が崩壊する。いつかと同じだ。
「くっそー!」
「間に合わなかった!」
イエローとブラックの悔しそうな声。いつもの、耳鳴りみたいな嫌な感じ。
「ガーディアン、発進!」
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