★第38話 (4/4)
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――スパイダル夕張基地。ドック内、アセロポッド科学陣と修理が終ったオズドリーン。
アセ「信じられんな、三次元にこれだけの技術があるとは」
アセ2「人工知能の解析は難航しているが…」
アセ3「とりあえず元通りにはできたしな」
――司令室。ファントマとガンガディン、数人のアセロポッド。ファントマに耳打ちするアセロポッド。
ファントマ「そうか、改修完了したか」
アセ「しかし、肝心の人工知能の解析が行き詰まっておりまして」
ファントマ「ふむ。それは我々にはない技術が使われているようだな…こうなると早く赤星竜太かOZの中核の人間を連れてこねばな」
ガンガディン「人間どもも集まったようです」
ファントマ「よし、開始しろ!」
ガンガディン「はっ」
――パネルの大きなスイッチを入れるガンガディン。
ファントマ「ここ夕張は地形といい天候といい、我々の本格的な地球侵略前線基地に最も相応しい。現時点では日本にしか基地を作れないのが痛いが、次元回廊が日本にしか開けられない以上仕方がない…。まずはここ夕張全域に超短波249メガサイクルの洗脳電波を流し人間たちを操る。超短波249メガサイクルの洗脳電波を浴びた人間は、普段通りの生活を滞りなく送るが脳は正常に機能せず、我々の前線基地建築の労働力となる。その上で夜になればここ夕張岳の基地に集結し、その生体エネルギーを吸い取り怪人の食料とするのだ」
――その時、ギターの音色が司令室に響く!
アセ「な、なんだ!?」
――慌て出すアセロポッド、ガンガディン。ギターの曲が終る。続いて響き渡る哄笑。
謎の声「はっはっはっはっはっはっは。全て聞かせてもらいましたよ、ファントマ参謀長殿」
ファントマ「その声は…!」
――ギターの1コード。コンピュータの横から現れる黒羽健。ギターを背中に担ぎ、帽子の鍔を上げる。
黒羽「また、お会いしましたネ♪」(手振り)
ガンガディン「き、貴様!生きていたのか黒羽健!!」
黒羽「おかげさまで」(一回転)「この通り」
ガンガディン「おのれぇ〜…」(腕の機銃を構える)
アセ「ガンガディン支部長!ここでそれを使われては、司令室が…!」
ガンガディン「ちっ!ええい、奴を殺せ!!」
――飛び掛るアセロポッドとガンガディンと黒羽の殺陣。が、突然その足元が凝固する。
黒羽「こ、これは…!」
ガンガディン「何事だ!」
ファントマ「何度か声をかけたのだがね。なかなか聞いてもらえないので止まって頂いた」
――手をかざしたファントマ。床に蜘蛛の巣のような光が走っている。
ファントマ「いささか驚きはしたが、今となっては貴君が生きていてくれて良かったと思っているよヘル・黒羽」
――かざした手で指を鳴らすファントマ。黒羽以外のガンガディン、アセロポッドたちの足が動く。
ファントマ「お連れしろ」
――黒羽を捉えるアセロポッドたち。司令室を出て行くファントマ、その後ろについていく一同。
――暗い部屋。使っていない研究室。腕を縛られて吊るされている黒羽。その前にファントマ、周りにガンガディン、アセロポッドら。
ファントマ「しつこいが生きていてくれて良かったよ。貴君とは一度ゆっくり話がしたかったのでね。聞きたいことがいろいろある…」
黒羽「そいつは同感だが、スパイダル軍人の礼儀はどうも日本人向きじゃあないな。話がしたかったら庭の見える畳の部屋で、まずは縄じゃなくてお茶を出すもんだ」
ファントマ「そうだったのか!では次の機会にはそうさせて頂くよ」
――笑顔が消えるファントマ。
ファントマ「まず聞こう。我々が回収したオズドリーンだが、あの機の人工知能についてだ。あれのおかげで機構の中核にロックがかかっている…どうなっているのだ」
黒羽「教えてもらえなかったか?ドリーンはあれでなかなか気難しくてね。まずは礼儀正しくご挨拶だ。そのあとお茶でも飲みながら話をして、何度か2人で空の散歩でも…」
――ファントマの鞭が一閃、黒羽のマフラーが数cm千切れて舞う。
ファントマ「ヘル・黒羽。私を手荒な事をさせないでくれたまえ」
黒羽「何てことしてくれるんだ。これは気に入ってるんだがね」
ファントマ「私は忙しい。貴君との会話を楽しむのはまたの機会でけっこうだ。貴君には他にもOZについて話せるだけのことを話して頂く。先は長いぞ…早いうちに痛い目には会いたくあるまい」
黒羽「話せるだけのことと言われてもなあ。あいにく雇われの身だ。ただ賞金は出ないがね…痛い目はまっぴらゴメンだがな」
――鞭の攻撃、今度は当たる。
黒羽「…ゴメンだって言ったのが分からなかったかい」
ファントマ「貴君も話して頂くと言ったのが分からなかったようだな」
――鞭を数回振るう。黒羽の顔、胸に当たり、服が裂けて包帯が散る。
ファントマ「貴君の皮膚は装甲並のようだが… 傷口はさすがにそうはいくまい!」
――胸の傷跡に集中して鞭を喰らわせる。傷が開いて血が四散する。
黒羽「グッ…!」
ファントマ「貴君が簡単に死なない体で助かるよ。時間をかけて質問できるからな…そこもケガをしているな?」
――肩を打つ。上着の布地と一緒に血が飛び散る。
黒羽「…残念…!傷はもう少し上だった…」
――機嫌を損ねた様子のファントマ。言われた箇所に鞭を振るう。
黒羽「ぐあっ!」
ファントマ「わざわざ傷を教えてくれるくらいなら…どうだ?傷一つにつき、貴君が知っている事を一つ話してくれるというのは」
黒羽「…それは面白くないな……うああっ!」
――鞭の音と黒羽の声が響く。合間にファントマの詰問。
ファントマ「予想はしていたが…」
――鞭を持ちかえるファントマ。
ファントマ「それ以上に時間がかかりそうだな」
――ボロボロの黒羽。血まみれで服もあちこち裂けているが、目は死んでいない。黒羽に背を向けて、窓の外に目をやるファントマ。
ファントマ「我々は一刻も早くこの夕張を拠点とし、まずは日本を制圧せねばならん。本来貴君への質問にこうまで時間をかける訳にはいかないのだが、現時点で最も我々の障害となっているOZ殲滅のためとあっては仕方がない。貴君も……」
――黒羽に振り替えるファントマ。 が、黒羽の姿はなく、血に染まった縄がぶらさがっている。周りに立っていたアセロポッドたちとガンガディンは倒されている。
ファントマ「なっ…どこだ!どこへ行った黒羽健!!」
――何とか立ち上がるガンガディンら。ふと窓の外を見てハッとなる。
ガンガディン「あっ、あれはなんだ!!」
――窓の外を見ると、遠くに小さく飛行物体が見える。どんどん近づいてきたそれはオズドリーン!砲門が開いて、ドリーンバルカンで壁をぶち抜く。アセロポッドの数人が撃たれて消える。ハッチを開けて飛び出す黒い人影が基地内に飛び込んでくる。高い実験台に、背を向けて飛び降りる。
ガンガディン「なっ、何者だ!!」
――立ち上がり、振り返る黒い人・・・
ブラック「はっはっはっはっは。ズバッと参上、ズバッと解決!人呼んでさすらいのヒーロー!!」
――名乗りポーズ。
ブラック「ブラックリーブス!!」
ファントマ「ちっ」
――手をかざし消えるファントマ。
ガンガディン「さ、参謀長…!くっ、貴様、着装できないはずだ!!そ、それにあの戦闘機は…」
ブラック「バカめ! いつまでもそんな芝居を続けるオレと思うか! オズドリーンのオートコントロールまで修理してしまったのが運の尽きだ!!ブラックチェリー!」(構え)「とりゃあっ!!」
――回転しながら飛び降り、空中で矢をつがえ、着地とともに連射。アセロポッド全員が消え去る。
ガンガディン「おっ、おのれ〜」
――腕の機銃を構える。が、その一瞬前に間合いをつめていたブラック。
ガンガディン「なっ!」
――ブラックの後ろ回し蹴り。吹き飛ぶガンガディン。倒れたガンガディンの上に乗って、首を締め上げるブラック。
ブラック「操った人たちはどこにいる!洗脳電波の発信源はどこだ!!」
ガンガディン「だ、誰が言うものか…」
ブラック「言え!!」
ガンガディン「ぐっ…い、言う!人間どもは地下の生体エネルギー収容所にいる…電波の発信源は夕張岳の頂上に……」
ブラック「嘘をつけえぇ!!」
ガンガディン「ほ、本当だ!!」
ブラック「ふっ、そうか…」
――手を放し、ジャンプ。天井に足をつき、反動をつけて蹴る。
ブラック「ブラック…キイイィック!!」
――足にリーブ粒子を集中させ、ジャンプキック。ガンガディンの胴体を貫く。着地した勢いのまま、爆発四散するガンガディンを放り出して部屋を出て行くブラック。
――地下の収容所。頭に装置をつけられ、生体エネルギーを吸われている大勢の人々。収容所中央の装置をブラックチェリーで破壊するブラック。次々に意識を取り戻す人々。
女「ここはどこ!?」
男「俺たち一体……」
男「なんだこりゃあ?」
ブラック「みなさん!ここは危険です、早くこちらへ!」
女「あっ、あんたひょっとしてオズリーブス?」
男「本当だ、テレビで見たことあるな…」
ブラック「それはありがとうございます、さあ早く!この道からまっすく行けば外に出られます」
女「えっ、ていうことは例のスパイ何とかってのが来るの!?」
ブラック「ご心配なく!もう安全です、さあ早く!」
――人々を誘導するブラック。
ブラック「もう誰もいませんね!!……よし」
――人々が全員基地から出たのを確認し、外に出るブラック。
ブラック「オズドリーン、オートコントロール・ゴー!!」
――飛来してくるオズドリーン、飛び乗るブラック。夕張山地を飛ぶオズドリーン、夕張岳上空。
ブラック「あれか!」
――岩場に謎の装置を発見。ドリーンバルカンで破壊。
ブラック「あばよ、夕張」(敬礼もどき)
――夕張に朝日が昇る。家々に帰って来る人々。顔を見合わせて安堵の笑いをもらす。倉庫の子供たち、朝日に起きて外の様子を見る。と、大人たちが帰ってきている。家に戻ってみる子供たち。すると、玄関先に立つ、元に戻っている家族。再会を喜ぶ人々。
誠「あの兄ちゃんが報せてくれたんだ!」
恵「そういえば、もう行っちゃったのかなあ」
新二「何言ってんだよ!見ろよ、コレ。倉庫の入り口で見つけたんだぜ」
――1枚のカードを差し出す新二。
恵「ああ…!」
菜緒子「すっごぉい!コレ本物!?」
『夕張戦線異常なし さすらいのブラックリーブス』
新二「決まってんだろ!」
――空を見上げる新二。そのはるか先、雲の上のオズドリーン。運転席の黒羽、地上に向かって敬礼もどきの挨拶。服はボロボロだが、傷は手当てしてある。ほとんど真新しく見える操縦桿を切る。
黒羽「スパイダルの連中、いい腕してるぜ」
――通信が入る。
黒羽「無線も良好、と」(スイッチを入れる)「はい、こちら黒羽こちら黒羽。どうぞ」
赤星の声『おっ、やーっと繋がった! ずーっと切ってやがって。どうだ、異常ないか?」
――黒羽、通信に入らないように忍び笑い。オズドリーンも笑うようにランプを瞬かせる。
――雲の上、青い空を、雲を曳きながら飛び去っていくオズドリーン。
黒羽「たった今なくなった、ってとこですかね」
(おしまい)
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