★第8話 (10/16)
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「レッド、グリーンの言うことも合ってるよ!ねえ、あたし作戦考えちゃいました!」
場の空気が悪くなった事を感じたピンクは、右手に持ったマジカルスティックをぶん!と風を切るようにして弧を描くと、多分、マスクの下でにっこり笑った。
「大工さんグリーン!あたしこの間技術の時間に『くさび』って習ったの。ブラックの刺さったままになっている矢、かわりにできないかな?」
細い左肩に刺さったままになっている矢を、マリオネは抜こうともしない。
ロボットなので痛みがない分、自分が制御不能になるまで体の破損はあまり気にしてないようだ。
「・・・!あ、そっか。ちょうど関節の・・・つなぎ止める部分に刺さっているんだ!さっすがブラック!」
「くさび?」
理解できてない3名にグリーンが口早くして説明した。
「くさびってのは・・・楔は木や石の割れ目に金属片とかを打ち込んで、割ったりすることなの。ブラックの刺さった矢を使って・・・多分きっと・・・あの、とんでもない力を出す腕を切り離せるかも。」
「ブラックチェリーがくさびがわりって事か・・・?右は?」
「俺様のマグナム弾が役に立たねーか?」
イエローはリーブラスターをしまい、小さなリボルバーを取り出した。弾は6発。
シリンダーをかしゃかしゃと回して、おどけてみせる。
「さっきリーブラスターで眉間を撃ってみたんだけどよ。あの調子だと多分貫通するこたねえ。俺様がくさびがわりにあいつの右の肩関節にブチこんでやるぜ。けど、くさび撃ちこむのはいーけどよ〜。捕まれないように打撃なんて、加えられんのか?」
「できる・・・多分。」
レッドは少しだけ、いつもの「格闘を教えてくれる先生」のような口調になり、マリオネの動きを解説してくれた。
「遠くから見ていた限りだと、あいつの動きは妙なんだ。確かにとんでもない握力だが、いつも数秒ほど動きが遅れている。」
「それって・・・?」
ピンクの答えに目線でうなずく。
「うん、あいつはロボットなんだろう?あいつの動きをどこかで誰かが制御しているんだろうな。」
誰かが制御・・・・・・。
「なるほど、操作しているのなら一定の時間、確かに遅れが出る!ぎこちない動きなら、オレ達で困惑できるぜ。」
ブラックはグリーンの肩をぽん、と叩いた。
「ブラック?」
「オレのブラックチェリーとミドの素早い動きでかく乱する。」
「え・・・?」
「できないとは言わせん。鬼コーチの仕込み、見せてもらうぞ。」
「は、ハイ!」
「よし、オレとピンクはくさびを叩く役だ!フルパワーで行くぜ!」
「はい!」
オズリーブス達は、作戦通りそれぞれの働きを精力的にこなしていった。
ブラックがまるで銃弾のように次々と矢を放つ。その間をグリーンが上手に駆けめぐり、マリオネの腕の動きを一定に保つ。
「さっきは捕まれちゃったけど、今はブラックチェリーが守ってくれるもんねっ!合間縫って,オレのこと捕まえてみるっ!?」
マリオネは腕を限界まで伸ばして彼を捕まえようとするが、降りかかる矢にジャマされてつかめない。何本も腕や体に刺さり、痛覚はないが動く時のジャマになっているようだ。
グリーンは左肩に刺さったままの矢を鏃(やじり)だけ残して、トンファーの刃でたたっきる!
「くさびの事を『矢』っていうんだよっ・・・よくいったモンだよねっ!レッド!」
「おっしゃあっ!」
レッドはくさびめがけてリーブライザーを付けた拳を振りかざす。相手は自分を見ているが、何でもかんでも握りしめる手の動きは、グリーンとブラックの矢にジャマされているせいもあってとても遅い。
自分の拳を振りかざして、その後に彼の左腕が後ろから動いた。
「リーブライザー・マックスモードっ!!!」
左肩関節に強烈な音を立ててめり込む拳が奇妙だった。
リーブライザーをプラスして、なおかつレッドの腕力で殴られたら生身の人間ならたまったモノではない。それはこの、強力な握力を持った怪人も同様のようだった。
関節からヒビが入り、左肩が腕と一緒にガレキの上に転がった。
「ピンクの作戦は成功だなっ!イエロー!」
「よっしゃ、まーかしとけって!」
とは言ったものの、不規則に動いている人形、しかも仲間達という名のオプションがいっぱい周りにいる状態で、右肩関節のつなぎ目だけをねらえる・・・のか?
「・・・・・・ニヤリ。」
できるぜ、拳銃は集中力と・・・冷静さ。
彼は不敵に笑って、銃に口づけた。
俺様だったら、できるぜ。
「なーんつって!いくぜえ、お人形さんよ!」
イエローはガレキを蹴り飛ばして宙からマリオネを見た。銃をかまえたその瞬間に、マスクごしに見つめる空気と時間が凍り付く。
左腕をなくしたマリオネはバランスをくずしてよろめく。
ちょこまかとしたグリーンの動き、宙でくるくる動くピンクと、ブラックが放つ雨あられの矢。全ての動きを把握して・・・右肩にターゲットを絞り込んで、あとは皆の動きを予想する。
レッドは・・・ブラックは・・・グリーンは・・・ピンクは・・・。
「そ・こ・だ・ぜえっ!」
ドンドンドンドンドンっ!!
5発発砲した。
イエローは空中で身を一回転させながら、成功を祝うかのように硝煙の煙をふっと吹く。
自分の右足のつま先がガレキについた瞬間、電撃を喰らうマリオネの音がした。
「マジカルスティック・稲妻アターックっ!!!」
ピンクが両手で大事に掴んだスティックが右肩に炸裂する。
マグナム弾を使ったくさびは全て右肩関節に命中していた。有望がパワーアップさせたマジカルスティックの威力は、弾丸を押し込み・・・もくろみ通り腕ががらりとはずれ、両腕を失ったマリオネは初めて膝をガレキについた。
ようやく天気予報が当たったらしい。遅い雨が降り始める。
「はあっはあっ・・・。」
みんなの歓声が遠くで聞こえる。
やったあ!くさび作戦大成功っ!技術の先生に感謝しなくっちゃ!
俺様の腕も最っ高―によかったな。さっすがオレv
バカ、両腕もいでも何するかわかんねーぞ!倒れているうちにさっさとトドメを刺すぞ!
やはりスターバズーカか? レッドっ!?
「・・・・・・マリオネ。」
両腕を失って倒れているマリオネは、瞳を閉じない。雨が降っているというのに。
瞳に水がかかっても起きてこない。
しかし、グリーンは起きてこない事を心の中でずっと願っていた。
お願い・・・
お願い・・・
お願い!もう立たないでっ!!
これ以上戦ってもしょうがないでしょっ?
喜んでいる仲間の中で、グリーンはひとり誰かに祈っていた。
神様に祈っているのか、それとも倒れているマリオネに祈っているのか、誰に祈っているかまではわからなかったけど・・・。
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