★第9話 (1/5)
<1>
(2)
(3)
(4)
(5)
――使われていない工場。暗闇。数人の走る足音。何かが崩れる音。積まれた段ボールを突き破って逃げてくる2体のアセロポッド。
レッド「待てっ!!」
ブラック「ミド、そっちだ!」
グリーン「オッケ〜イ!」
レッド「ピンクも頼む!」
ピンク「はいっ!」
――レッド、ブラック、グリーンとピンクが追いかける。3手に分かれる。横から逃げるアセロポッド。
グリーン「やばい!」
レッド「大丈夫だ!向こうにはイエローが…」
――工場を飛び出すと岩場。アセロポッドの姿はない。岩の影から出てくるイエロー。
イエロー「あれっ? なんだ、あいつらこっち来たんじゃねえ?」
レッド「イエロー…」
――何か言い合うレッド、イエロー、グリーン、ピンク。その向こうで無言で着装を解く黒羽。
タイトルin『名犬物語!特訓・リーブチャクラム』
――喫茶森の小路。それぞれ適当な距離をとって座る5人。険悪なムード。黒羽のギター。ベースから出てくる葉隠博士。その雰囲気に気付き、赤星に耳打ち。
葉隠「…どうしたんじゃい」
赤星「黒羽の奴がちょっと、黄龍にお冠でして」
――こそこそベースに戻ろうとするが、翠川と目が合い首をすくめて店の端に座る葉隠博士。
黒羽「さすがだなぁ瑛ちゃん、おっとり構えてらっしゃるこった。ええ?」
(ジャ〜ン、と1コード弾く)
赤星「黒羽!もういいじゃねえか。追っかけたって奴ら、消えちまうかもしれなかっただろ」
黒羽「仲間思いですなあ赤星隊長殿は。連中があのまま街に出たらどうだ? とっ捕まえられたとして、奴さん方の秘密がちょいとでも分かったかもしれなかったとしたらどうだ。ん?」(黄龍に視線を移して)「悪びれない辺りが大物って奴かね。ええ、瑛ちゃんよ」
――目を閉じて頭の上で腕を組んで、足を組んでやる気なさそうにしている黄龍。聞いていないような態度。
黄龍「で、何?…っていうかさ、あんたちょっと考えすぎなんじゃねえの?」(片目を開けて黒羽を見ながら)「ど〜せまた消えちまってたって! ほっときゃいいじゃんあんなの……気合い入りすぎなんだよ!」
黒羽(ヒュウ、と口笛。チッチッチ…と指を振って)「分かっておられませんなあ…要は心構えって奴ですよ、黄龍の『おぼっちゃま』」
――ピクリと反応する黄龍。黒羽を睨む。
黒羽「180cm65kg、運動神経・体力ともに並。ちょっとばかり反射神経がいいくらい、と…」(語気を厳しくして)「イエロースーツの条件に合うお前以上の人材なんざあ掃いて捨てるほどいるんだ!」
――静まり返る店内。やがて席を立って出て行く黄龍。ドアを開けたところで振り返る。
黄龍「マスターさあ、もうちょっと人選考えた方がいいんじゃねえの? そこのオッサンも込みでな!」
――赤星、黒羽を睨む。
瑠衣「黒羽さん!あんまりです、あんな言い方しなくたって…!」
翠川「そうですよっ。いくらなんでもあれじゃあ……」
赤星「黒羽!」(翠川と瑠衣を目で制して)「…お前の言い分も最もだ、気持ちは分かる。だけどよ、あいつだって」
黒羽「あいつなりに頑張ってると? フッ、果たしてそうかな」
赤星「……持ち直してくれるさ。お前の選んだイエローリーブスだろ」
――黒羽、ギターの弦を弾く。
――広い公園。子供たちが遊んでいる。芝生に寝転ぶ黄龍。その耳に子供たちの歓声が届く。脳裏に現れる黒羽。『イエローリーブスの条件に合うお前以上の人材なんざあ掃いて捨てるほどいるんだ!』
黄龍「へっ。リストラすんなら早めにして下さいっての!」
――突然飛んでくるフリスビー。飛び起きて受け止める黄龍。辺りを見回すと、犬を連れた少年が手を振っている。
少年「ごめーん!お兄ちゃんこっちー!」
黄龍「何だ…しょうーがねーな、気いつけろよ!それっ!」
――背中から回すようにフリスビーを投げて返す。見事に円を描いて少年の手に収まるフリスビー。
少年「すっげー!」(犬と一緒に駆け寄って)「すげーや兄ちゃん!上手いな〜」
黄龍「へへ、まっ当然てヤツ?チョロいチョロい」
少年(フリスビーを差し出して)「ねえ、もっとやってみてよ!」
黄龍「オッケーオッケー♪」
――フリスビーを受け取り、立ち上がる黄龍。少年、犬に指示を出す。走り出す犬。
黄龍「行くぜっ!」
――黄龍、様々なポーズからフリスビーを投げる。いずれもきれいな円を描いて飛んでいく。口で受け止める犬。
――フリズビーをくわえて戻って来る犬。少年が受け取る。
少年「兄ちゃん、ホントにすげーや!オレ剛って言うんだ、こっちはジョン。なあ兄ちゃん、兄ちゃんのワザ、オレに教えてくんない?」
黄龍「ワザぁ?」
剛「オレとジョン、今度フリスビーの大会に出るんだ。そこで兄ちゃんの技が出来たら絶対優勝だぜ!な、教えてくれよぉ。ヒマな時でいいからさ! 大会、来週なんだ!」
黄龍「はあ!?ちょ、ちょっと待てって。オレ様は…」
――言いかけたが、また脳裏にイヤミな(黄龍ビジョン)黒羽の映像。
黄龍「……わかったOK!オレ様黄龍ってんだ。これから大会まで毎っ日教えてやるよ」
剛「ほんと!?やったあ!な、ジョン!」
ジョン「ワン!」
黄龍「言っとくけど、オレ様のコーチは厳しいぜ〜?」
――夕方。芝生に座る黄龍、剛、ジョン。
黄龍「剛〜お前なかなかスジいいじゃん!いい線いってるぜ!」(剛の頭をかき回す)
剛「やったぜ!でも兄ちゃん、ホントすっげーよな!オレ兄ちゃんみたいに上手い人初めて見た」<黄龍「まっ、これもオレ様の才能ってヤツ?」
剛「天才だよ!イエローリーブスみたいだもん!」
――黄龍、笑顔が消える。
黄龍「え……」
剛「知らないの?オズリーブスのイエローリーブス! フリスビーが武器だろ? オレ尊敬してんだ!」
――剛から少し体を離して寝転ぶ黄龍。
黄龍「…知ってるよ。オズリーブスのお荷物、役立たずのイエローリーブスだろ」
剛(ムキになって)「役立たずじゃないよ!イエロー、強いしカッコいいよ!」
黄龍(空を見上げたまま)「悪いんだけどさ、そりゃ思い違いだぜ。全然強いことなんかねーし…だいたいさー、ふつーヒーローったらレッドじゃん? ブラックだってムッカつくほど強えーし、グリーンもチビのくせして張り切ってるし、ピンクだって女の子なのに…」
――黄龍、着装した仲間が戦う姿を思い浮かべる。突然、怒ったように立ち上がる剛。
剛「なんだよ兄ちゃん、イエローリーブスの悪口言うなよ!」(少し勢いをなくし)「そりゃ、レッドとかブラックは強いけど…」(また勢いついて)「でも、ホントはイエローだって強いんだ。イエローリーブスはオレのヒーローだ!」
――放心した黄龍。一生懸命な顔で黄龍を睨む剛。黄龍、すまなそうに笑う。
黄龍「あ、いやその…ワリワリ! イエローがあんまりフリスビー上手いからさ、オレちょっと羨ましかったっていうか…ほら、シットっての? 別にイエローの悪口言ったんじゃねーんだ」
――一瞬キョトンとして、気が抜けたようにぺたんと座る剛。
剛「なーんだ…そっか!」
黄龍「ゴメンゴメン。あとでアイスでも買ってやるから」
剛「ホント?じゃあオレ、バナナチョコがいい!あ、ジョンにはジャーキーね」
黄龍「げっ…しっかりしてんの」
剛「当たり前じゃんか。でもさ〜、兄ちゃんってけっこうコドモだな。ヒーローにシットなんて!」
黄龍「あっ、このヤロ〜生意気に、コドモだって?お前なんかマジに子供だろ!」
――夕焼けに2人の笑い声。ふと黄龍のやや重い表情。
<1>
(2)
(3)
(4)
(5)
(一覧表へ)
(龍球TOP)
(TOP)