★第9話 (3/5)
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――オズベースの医務室。部屋から出てくる洵。黒羽・翠川・瑠衣と葉隠博士に笑顔を見せる。

翠川「先生、リーダーはっ!?」
洵「大丈夫!ちょっと見は大ゲサだけど、どうってことないからね」
瑠衣「ホント!?ホントね洵先生!……よかったぁ」

――一気に緊張を解く瑠衣。ドサッと座りなおす。翠川、葉隠も溜めていた息を吐いた。黒羽、帽子を被りなおす。

洵「うん。まあ普通の人なら重傷だったと思うけど、あの人だしね…それにスーツもあったんだし。ああ…スーツの方も問題ないってさ。  すぐ元通りになるって」(部屋を見回して)「…そう言えば黄龍くんは?」
翠川(身を乗り出して)「それなんですよ!姿が見えないんです。あいつ、怪人を追っ払ったあとどっかに消えちゃって」
洵「ええっ?消えたあ?」(全員の顔を見回して)
黒羽(突き放すように)「フッ、何てこたあない!フリスビーをしに公園に行ったのさ。いいご趣味だ」
瑠衣「…そうなんですか?」
黒羽「そうだよ。なーに腹が減ったら戻ってくるさ」

洵「…………」(ふとドアに目をやって)「あっ、だめだめ輝くん。今は面会謝絶」

――病室のドアノブに手をかけている翠川。不満そうな顔になる。

翠川「えーっ、でも、リーダー大丈夫なんでしょ?」
洵「だーめ。ちょっとでも早く治って欲しかったらね」
翠川「ちぇ〜」

――しぶしぶドアから離れる翠川。乱暴に椅子に座る。

黒羽「いい子だ坊や、物分りがいいぞぉ」

――翠川の頭を撫でる黒羽。スネたように横を向く翠川。黒羽、笑って翠川の肩を叩く。洵に耳もとで囁く。

黒羽「お医者様ってのは辛いな先生。大丈夫、この黒羽健が責任持って病室には誰も入れさせませんよ」

――洵、急にうろたえだすが、厳しい顔を作る。

洵「な、何がです? 医務室の責任者は僕ですけど」
黒羽「フッ。まったくいい男だぜ、ドクター洵」

――突然瑠衣の声。

瑠衣「あれ?そう言えばお姉さまは…?」




――医務室内。ベッドで眠る赤星。ベッドの横に椅子をつけて座る有望。薄く目を開ける赤星。

赤星「………あれ…………有望! どうしてここに…」(起き上がろうとするが)「いてて! あ〜けっこう効いたなあ」

――無表情に赤星の様子を見ている有望。

赤星「そうだ!有望、みんなは? 大丈夫だったのか? あの怪人……あ! しまったスーツが! あれがダメになったら……」
有望「バカ!!」

――ビクリとなる赤星。有望、厳しい表情。目に涙が浮かんでくる。

有望「黒羽くんから聞いたわよ。いくらスパイダルとの戦いだからって………カッコつけないでちょうだい」
赤星「有望……」 



――場面転換。いきなり振り向く黒羽のアップ。

黒羽「もちろん!スーツの修理に決まってるさ。科学主任のやることがそれ以外にあるかい」
瑠衣「あ、そっか。やっぱりお姉さまって大変……」
黒羽「さあさあ、分かったら上に上がろうじゃないか。確かケーキの余りがあったはずだからな」
翠川「えっ、何ナニ?こないだのバナナケーキ?」
黒羽「そうだよ〜坊や」

――翠川と瑠衣の背中に手をやって上に上がっていく黒羽。角を曲がる寸前、敬礼もどきの挨拶を洵に残していく。

(溜息をついて)「参るよ、あの人は……」(真面目な顔になって葉隠に)「瑛那くん、本当にどうしたんですか?ちょっと妙でしたよ、黒羽さん」
葉隠「ん?……うむ、黄龍くんはの……」



――トレーニングルーム。飛び交うチャクラム。的に当たり損ね、床に落ちる。

黄龍「くそっ……!」

――どさりと座り込み、肩で息をつく。脳裏に現れ消える映像。黒羽『お前以上の人材なんざあ掃いて捨てるほどいるんだ!』剛『まるでイエローリーブスみたいだ!』『イエローリーブスはオレのヒーローなんだ』ブラック『ホーンブーメランに対抗できるのはお前のリーブチャクラムだけだ!』ホーンブメランに撃墜されるリーブチャクラム。苦しむレッド。走り去っていく剛とジョン……。

――立ち上がる黄龍。2対のチャクラムを握りしめ、再び構え、狙いを定める。



――喫茶森の小路。カウンターに翠川・瑠衣、壁にもたれかかる黒羽。カランカラン、とドアベル。振り向く3人。剛とジョン。

剛「あの…ここ、犬も入っていい?」
瑠衣(にっこり笑って)「うん、大歓迎よ」
――瑠衣、剛の近くまで入ってしゃがみこむ。

瑠衣「かわいいわね、何てお名前?」
剛「ジョンだよ」
翠川「こっち座りなよ!ほら、こっちこっち」

――大きく手招きする翠川。隣に座る剛、足元にジョン。

黒羽「何にします、坊っちゃん」
(振り返って)「お兄ちゃん店の人?」
黒羽「まそんなところさ」
剛「あっ、でもオレ金持ってないや。……あのさ、ここにキリュウって兄ちゃん来てない? 髪の長い兄ちゃん」

翠川「キミ、あいつの友達?」
剛「知ってんの? ここにいるからって聞いて来たんだ」
翠川「うん、知ってるんだけど…ごめんな、今どこにいるか分かんないんだ」
瑠衣「あ、そうだわ!」(パンと手を叩いて黒羽に振り向き)「ねえ黒羽さん、瑛那さん確か公園に行っ……」

黒羽(慌てて遮るように)「お〜っとっとぉ瑠衣ちゃん待った待った。坊っちゃん、黄龍のお兄さんは今ちょっと大事なお仕事中だ。用があるなら言ってごらん。お兄さんたちから伝えておこう」
剛「分かった、じゃあ頼むよ。オレ剛、こっちはジョン。キリュウの兄ちゃんにフリスビー教えてもらってたんだ。明日も公園でやってるから、その仕事終ったら来てくれよなって伝えてくれよ。……それでさ……」
――急に黙り、うつむく剛。

黒羽(微笑んで剛の顔を覗き込み)「どうした?」

――剛、顔を上げる。怒った顔。

剛「イエローリーブスは兄ちゃんの言ってたとおりだったって伝えてよ!」

――椅子から飛び降り、走り出す。ジョンがあとを追う。

剛「それじゃ!」

――勢いよくドアを開けて走り去っていく剛、ジョン。呆然と見送る3人。思い切ったように黒羽の顔を見る翠川。

翠川(詰問口調で)「黒羽さんっ」

――黒羽、ゆっくりと肩をすくめて軽く首を横に振る。

黒羽「こいつは怖い顔だ。何か怒られるような事、しましたか」
翠川「誤魔化さないで下さい!」

――瑠衣も眉を寄せて黒羽ににじり寄る。

瑠衣「黒羽さん〜、何か隠してるでしょ」
――左右から睨まれる黒羽。翠川・瑠衣を見比べ、口笛をひと吹き。両手を広げる。

黒羽「こりゃまずいな。こいつはとんだ名探偵2人組だ」

――突然スタッフルームから出てくる赤星。もう普段通りの姿。黒羽、助かったとばかりに笑顔を向ける。

黒羽「よう赤星!ケガはもう大丈夫そうだな、さすがは鬼の赤星殿。ほーら坊や瑠衣ちゃん、君たちのリーダーのご帰還だ」
赤星「なんだよその鬼ってのは! ところで、黄龍の奴すげえじゃねえか。トレーニングルームで特訓してたぜ」

――帽子を押さえて溜息をつく黒羽。

翠川「えーっ!?」
瑠衣「そうだったんですか!?」
赤星「そうだったって、なんでお前ら知らないんだ?」
翠川「黒羽さんがもったいぶって隠してたんですよ!」
黒羽「そりゃ言いがかりだ」
翠川「言ってくんないんだもん黒羽さん!オレ、行って手伝ってきます!」
瑠衣「瑠衣も!」

――走り出す翠川と瑠衣。手を伸ばし何か言いかける黒羽。が、それより先に、

赤星「待て!!」
――スタッフルーム前で立ち止まる翠川・瑠衣。赤星、黙って首を横に振る。

翠川「でも、一人より何人かいた方がいいですよ!」
瑠衣「それに、たった一人でなんて……」
黒羽(小声で)「やれやれだぜ。だから教えたくなかったんだ」
赤星「これは黄龍の問題だ。それに…イエローリーブスって存在の問題でもある。一人で何とかさせるんだ」

瑠衣「でもっ」
翠川「リーダー、行かせて下さい!オレだって何かしたいんです!」
瑠衣「瑠衣も、何もできないのはイヤ!」
赤星(静かな口調で)「ダメだ。こればっかりは一人でしか乗り越えられない」

――仕方なく黙りこむ翠川・瑠衣。黒羽のギターの音。
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