その9:ダイレンジャー

スーパー戦隊シリーズの中で何が好き?と聞かれた時、必ず上位にあるのがチェンジマンとダイレンジャーだったりします。戦隊が好きと言っても何度か繰り返し見たのはこの二つだけ。両者に相通じるのは何なんでしょうね。5人が5人とも魅力的で、役者さんがのめり込んでいる感じで、あとみんな仲良さそうに見える‥‥という処かな‥‥? ああ、こう書いていて私も女性だなぁと思いました(苦笑)。

話がズレますが、ドラマの要素にはキャラの魅力とか設定の堅牢さとかストーリーの面白さとか演出や映像の良さとか色々ありますよね。で、男性は設定とかストーリーまでちゃんと見てるけど、女性はキャラクター(演じている役者含む)が良ければいいって人が多い気がするんです。私も特撮本など読むとき、つい設定より人間ドラマの部分や役者さんのインタビュー記事とか見ちゃうし。

「オリジナル戦隊同盟」の加盟サイト様も男性の管理人様が多い気がします。もうどのサイト様も設定が凄くきちんとしてて感動です! それに比べるとウチはいい加減だなぁ(大汗)
キャラに頼らずに「男の人が読んでも面白いものを書ければなぁ」って憧れめいたものはあるんです。でも哀しいかな、私の過去作品のなかでそれに該当するのはDB小説の「私はロボット」と「One of the Endings」だけですねぇ(涙)。残念‥‥。


閑話休題。
ということで大好きなダイレンジャーなんですが、私の中でこれは「不思議作品」に位置づけられます(笑)。本放送で見始めて、面白いのに何故か不安感につきまとわれつつ見てたんです。どっか踏み外したらコケるんじゃないかって‥‥。中盤に来ても、大丈夫か、どう展開する気なんだって不安感が続いてました。「ワクワク感」や「ドキドキ感」じゃないんです。「不安感」なんです。

ダイレンジャーはメインのストーリー以外に、5本のサブストーリーが流れるような形で進んでました。A:レッドの亮+的場陣、B:グリーンの大五+クジャク、C:ブルーの将児+敵のボケキャラ3人、Dイエローの和+7番目の戦士、E:6番目戦士のコウ+コウの母+敵幹部因縁話+ここにピンクのリンが入る‥‥みたいな‥‥。その上、それぞれのサブストーリー、脚本家の担当が決まってたんです。

サブストーリーの分で20数話はあったと思います。で、サブストーリーの時は基本的に1人がメインであとの4人は脇役。上のEは本編にも絡んでいたのですが、それ意外にも本筋主要回はもちろんあるわけです。
それぞれのエピソードが終わらないうちに、「あ、またイミ深なキャラが出てきたぞ‥‥」「あ、まただ!」と全50話のうち6割以上がそんな感じ‥‥。大丈夫か。こんなに風呂敷広げてまとまるのか。ちゃんと落とせるのか‥‥って、人ごとだけど不安になりながら見てましたね。

あと「大神龍」ってもの凄い存在が出てくるんですよ。子供には難しすぎたとは思うんですが、私的には面白かったです。正義側だろうが悪側だろうが、とにかく争いを起こすともの凄い攻撃力でそれをつぶしにかかるどでかい龍なんです。まあ神様なんてそんなものかもしれませんね。言い分なんて聞かずに「喧嘩両成敗」ってあっさり罰を下される。「幼年期の終わり」のオーバーロードを思い出してしまいましたよ、私は(苦笑)
それでこいつのお陰でいきなり休戦になって、その間に決着のついてないサブストーリーをばたばたばたっと片づけるという凄いワザを使ってくれました。それでも中途半端にしないでちゃんとケリつけてくれたのはとても好感が持てました。

導師嘉挧(博士役ですね)が実は敵側の人間で、敵の首領の反対勢力だったとか、味方の基地から敵の宮殿までバイパスが繋がってたりとか‥‥。ある意味めちゃくちゃな展開でもありました。それでも今の仮面ライダーみたいに謎が謎を呼んでいつまでも「引き」という感じじゃないのが良かったかな。連続話でも2、3回の間には説明して(まあムリな説明もあったけど)すっきり片づけてくれたのでカタルシスが得られました。

でも5人それぞれがサブストーリーを持ってましたから、ヘタしたら雰囲気的に5人がバラバラになる危険性も大きかったと思うんです。なのにちゃんと一体感があったのが面白くて。脚本でちょっとずつフォローしてたのもあるのでしょうが、素顔の役者さん同士の仲間意識が強かったのが良かったんじゃないかと思うんです。超全集などを見ると本当にいいチームワークだったようで、日頃のそういう感じが演技ににじみ出てたのかなぁと‥‥。

それでも誰か一人と言われれば、やはりレッドの和田圭一氏の頑張りが大きかった気がします。実はリアルタイムで見ていた時は大五が好きだったんですが、あとから見返すとやっぱ和田氏が偉かったんだなって‥‥。第1話からかなり入ってた感じなんです。それがちょうど「気力だァァッ!!」ってタイトルにぴったりマッチしたんでしょうね。
戦隊モノはメンバ全員が新人なことが多いから最初はなんとなく様子見‥‥みたいになりがちだけど、ダイレンジャーはレッドが最初から燃えてて、それがあとの人にも伝搬したという感じですね。

そして他の役者さんも良かった。導師嘉挧の中康治氏は絶品、敵役の三人も迫力満点、クジャクの森下氏は「うそ! キリカってこんなに美人だったっけ!」と絶叫しました(笑) 夫には「俺には最初からわかってたぞ」と言われてしまいましたが。何をさ(爆笑)
そして的場陣役の広瀬氏が本当にハマリ役というか(笑)。ここまで来ると「私が悪うございました」としか言えない(笑)。まあゲストキャラだから美味しいとこだけ書けたとも言えます。それを言ったらサブストーリーの集まりで構成されるダイレンジャーは、全体的に「美味しいとこだけ書き」で進んだ作品なのかもしれません。
とにかく元々広瀬氏が大好きな私は的場が書きたくて龍球30話に登場させました。TVの的場よりちょっと若い感じですね。でもダイレンでは亮と的場が「拳士として」戦ったのに、赤星は違った方向に行ってしまったのは私にも予想外でした(笑)

そしてダイレンジャーの忘れちゃいけない魅力として、変身後のアクションのカッコ良さがあります。中国拳法系なんですが未だに戦隊史上で最も美しい動きだったと思います。25戦隊登場のスペシャルで25人のレッドが出てくるシーンがありまして、あの中でも光ってましたよね。まあ子供には絶対マネできなかったと思うので、それで路線変更したんでしょうか(笑) ガオレンジャーの中で某オルグがシシレンジャーのマネしてたシーンには笑いました。

あと、6番目の戦士が子供で、剣の力を借りて変身すると大人の体格になるという目新しいスタイルを取り入れてました。ただこれ、その後使われないのは何故なんでしょう。あのくらいの演技のできる子役だって居そうな気もするのですが‥‥。それとも視聴者の子供にとっては、変身して戦うのはお兄ちゃんお姉ちゃんの方が良いのでしょうか。興味深い処ですね。

ということで、読み返すとあんたはダイレンジャーの何が好きなのよと言われそうですが、「役者さんの一生懸命さが噛み合って、すごい盛り上がりを見せてくれたトコ」‥‥とまとめておきます。

ただ、もしもダイレンジャーの人気が高かったのだとしたら「あれはたまたま役者さんがハマったから良かったので、手法はマネしない方がいいのでは」と思います。
たとえばコンサートで、音響や演奏が演目にそぐわない状況だったのに、たまたまボーカルがプライベートで何かあって、その歌を聞いたみんなが感動したとしましょう。それは確かに成功なんでしょうが、だからって次のコンサートで同じような音響や演奏を用意するのがどうかってことですね。
2003/10/03

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