第6話 龍球戦隊オズリーブス!!
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スパイダル本拠地

シェロプ「どういうことだ、スプリガン? OZの奴らがこんなところで出てくるとは、お前の機甲空挺師団も所詮名ばかりか?」
スプリガン「ハ! 侯爵様も人のセイにするのがお好きですな。オレのあの時の任務は、あの研究所の壊滅だけでね。残党がいたなら、他にもOZのアジトがあったんだろうよ」
アラクネー「スプリガン。私の探索にケチをつけるつもり?」
スプリガン「い、いや‥‥、そういう意味じゃ‥‥。おいおい、怒るなよ、アラクネー。可愛い顔が台無しだぜ」
ゴリアント「へっ、どいつもこいつもざまぁねーぜ! お互いに他人のせいにしてよ。どうだい、シェロプ。オレっちの部下でも一人貸してやろうか? モンスター軍団にはあんなヤツらに背中見せるようなやつぁ一人もいねーぜ!」
シェロプ「ぶ、無礼なっ! この私がお前の汚い手など借りることなどありえん!」


ブラックインパルス(以下BI)IN

BI「シェロプ‥‥。アセロポッドたちが消えた状況など鑑みて、油断するなと言ったはずだ。それを二度も引いてくるとは‥‥」
シェロプ「お待ち下さい、司令官殿。アセロポッドたちを消したのが新勢力ではなくOZの残党であることがわかったのはむしろ好都合。もはや戦力など、ほとんど残ってはおりますまい。たしかにマルキガイナスが遅れを取ったのは事実ではありますが、4人の手はすべて分析しております。次に次元回廊が開いた時が、あやつらの最後かと‥‥」
BI「その言葉、行動で示してもらおうか‥‥」
BI背中を向けて去る アラクネー後に続く
スプリガン「作戦の成功、この私めも祈ってますぜ、侯爵様!」
スプリガン、貴族風の慇懃な礼をしてみせて、去っていく

ゴリアント「オレっちに頼むんなら今のうちだぜ! ヒーッヒッヒッ‥‥!」(笑いながら去る)


シェロプ「チッ‥‥ゲスなやつらが‥‥! マルキガイナスッ」
マルキガイナス「ハッ」
シェロプ「あの4人、必ず血祭りにあげてくるのだ!」
マルキガイナス「お任せ下さい。私に何か攻撃をしかけてきたとき‥‥それがヤツらの最後です」
シェロプ「ヤツらの死か、貴様の死か、どちらかだ。わかっておろうな」
マルキガイナス「ははっ 暗黒怪魔軍団の名誉をかけて!」


===***=== タイトルIN「龍球戦隊オズリーブス!!」===***===

林の中、金属音と気合いの声が響く。レッドとブラック、ブレードモードで激しく切り結んでいる。互いにかなり本気。ブラックの打ち込みをかわしきれなくなったレッドのブレード、大きくはじき飛ばされる。
ブラック「もらった!」(上段から切り込むブラック)
レッド「リーブライザー!」(リーブ粒子がレッドの前腕部を覆う)
レッド、自分からつっこみ、ブレードの根元の部分を左腕で受け止める。
ブラック「なっ!」

レッド、ブラックの虚をついて左腕で剣を押し返し、右の拳でブレードをはじき飛ばす。

ブラック「そんなのアリですかい、赤星隊長?」
レッド「へっ 道場じゃないんでねっ いくぜ、黒羽!」
ブラック「まったく、この旦那は!」
二人、今度は素手で組み合っていく


===***===


オズベース、射撃ルーム。大量の的を両手のリーブ・ライザーで撃っていく黄龍。ものすごい命中率。後ろで見ている輝、感嘆の拍手。
輝「エイナ! 凄いっ 凄いよっ」
黄龍「このくらい朝飯前って。ちっとは尊敬しろよ、テ〜ル?」
輝「うん! だからオレにも、もっと教えてっ」
黄龍「あっら〜。お前ってば、ホーント素直ね。でも動体視力がいいなら、射撃もマジでやったらけっこういいセンいくかもな」
輝「ホントっ!? やった! オレ、すっごく苦手だったんだ、銃って!」

黄龍「銃だけじゃないじゃん。お前、機械系からっきしだもんな。よし。バカの一つ覚えでいいやつ教えてやる」
輝「バカってどーゆー意味だよっ」
黄龍「たとえだってーの! 文句言うなら出てけって感じ?」
輝「文句じゃないから、ちゃんと教えてよっ」
やいのやいの言い合いながら、輝に教え始める黄龍。


===***===

オズベース、研究室モニター前で、葉隠、有望、田島。三人とも少し疲れた顔をしている。
葉隠「どうじゃ、田島君?」
田島「早急にはムリですね‥‥。リーブ粒子をバズーカとして使うには、エネルギー順位の高い、つまり不安定な状態のリーブ粒子を臨界量保持する仕組みが必要です。どうしても、あと2週間は欲しいところですね」
葉隠「彼らのパワーアップのほうは?」
田島「レッドのリーブライザーにはマックスモードを装備しました。ただそれを使えばライザーが使える時間は短くなります。またブラックチェリーの射程距離を2割増。チャクラム用の新型爆薬の製造が終わっています。しかし、決定的なものは‥‥」

葉隠「そうか‥‥。有望君‥‥例のものは‥‥」
有望「はい‥‥。あとはリーブレスをすこし改造すれば‥‥。たしかに、今の私たちにとって最も早急で確実に準備できて、かつ効果的な手段はこれしかありません‥‥。でも‥‥」
葉隠「わかっておる。一度で決められなかった時、彼らを決定的な危険に晒してしまう。‥‥そのうえ‥‥」
有望「‥‥赤星は‥‥あの人、きっと納得しませんわ‥‥」

葉隠「次元回廊が開くときまでに、スターバズーカの開発が終わっておればよいが、その前にあの怪物がやってきたら‥‥‥‥」
有望「そうですわね。‥‥必ず敵を倒せるように‥‥もう一度最終の調整をしてみます」
葉隠「頼むぞ」


===***===


オズベースの廊下。赤星と黒羽が歩いてくる。
赤星「やっぱ、お前とやり合うのは、楽しくていいや!」
黒羽「オレはゴメンですね。旦那みたいな野生の証明と、マトモな人間がやり合おうってのが間違ってる」
赤星「どこにマトモな人間がいるんだよ」
黒羽、親指で自分の鼻を指し示す。
赤星(とぼけて)「どこにいるのかなぁ? 顔見てえなぁ?」
顔を見合わせて笑う二人、トレーニングルームの脇を通過すると、声が聞こえてくる。ドアから中の様子を見る二人。中ではグリーンとイエロー

グリーン「エイナッ いっくよーっ」
イエロー「なんで、射撃を教えた礼が、組み手の相手になるわけ〜!」
グリーン「だって、組み手は一人じゃできないもん! ホラ、マジメに防御しろよっ」
イエロー「そーゆー意味じゃねーだろ! あ、バカッ 顔は狙うなっ」
グリーン「ホンキでやんなきゃ、だめだよっ」
イエロー「あとでベソかくんじゃねーぞ! リーブチャクラムッ」
チャクラム、グリーンの頭上すれすれを飛ぶ。

グリーン「わっ ずるいっ」
イエロー「ホンキでやれって言ったのお前っしょ! いくぜっ、アキラ!」
グリーン「こっちじゃ、負けないよ! エイナッ」
真剣に打ち合っていく二人

赤星と黒羽、顔を見合わせて微笑む。
黒羽(小さく)「鬼コーチのお仕込みがよろしいようで‥‥」
赤星「別に普通にやってるだけだぞ」(小声で応じながらだんだんに真剣な眼差しになってくる)「しかし‥‥こうなってくると、黄龍もそろそろ接近戦の割合を増やした方がいいかもな。もう銃とチャクラムについては文句ねえから‥‥」

二人、コントロール・ルームに向かって歩き始める。
黒羽「また、来るんだろうな、あの乱暴なお客さんたちは‥‥」
赤星「それまでに、スターバズーカの開発が出来りゃいいんだが‥‥」
黒羽「ダメなのか?」
赤星「田島さん、最低でもあと2週間って言ってたんだ。で、計算によると次元回廊が開く確率は週に1.3回」
黒羽(ヒュウ〜と口笛)「そりゃ、ありがたい予報ですなあ。 (真剣な顔で)同じ手がそう何度も通用するとも思えんしな‥‥」
赤星「ああ‥‥」
と、響きわたる警報。黒羽、赤星、走り出す。後ろから黄龍と輝。

コントロール・ルーム、駆け込んでくる4人。いるのはサルファだけ。
サルファ「ぽいんとA6、次元回廊、開キマス! 秋川公園デス!」
赤星(警察専用回線の通話機をとりながら)「サルファ、オズブルーン発進準備!」
黒羽「いくぞ、二人とも!」(3人先に出る)
赤星「こちらOZ! ポイントA6、秋川公園に厳戒態勢。次元回廊開きます! 予想時刻は30分後! 至急、避難誘導願います! 誰も入れないで下さい!」


===***===

低空飛行のオズブルーンから飛び降りる4人。すでに着装している。オズブルーンは自動操縦で上空へ。リーブレスから流れてくるサルファの指示
サルファ「ミナサン。南東ニ150m移動シテクダサイ! 暗黒次元の電磁波ガ、ドンドン強力ニナッテイマス。推定デハ3分後ニぴーく!」
レッド「急げ!」

大きな噴水のある広場。走り込んでくる4人。空間が割れ、現れるマルキガイナスと沢山のアセロポッド!
マルキガイナス「OZの残党ども! 今日こそあの世に送ってやる! 仲間の元に行くがいい!」
レッド「へっ 人の思い通りにゃ動きたくないクチでね!」
マルキガイナス「アセロポッド!」

アセロポッドと4人、混戦乱闘状態。ポッド次々に倒されて消えていく。アセロポッドの人数が少なくなってきた頃、マルキガイナスの背中から細身のバズーカ砲が2本せり上がり肩に装着。アセロポッドごと4人を掃射。
レッド(とっさにアセロポッドを楯にして)「なんてことしやがるっ」
グリーン(背中に被弾)「わあーっ!」
ブラック「グリーン!!」(グリーンをひっぱって障害物の陰へ)

イエロー「リーブ・チャクラム・ストーム・シュート!」
チャクラム銃口にあたって爆発。左の分が使えなくなる。
イエロー「へへっ 新型爆弾の味はどうだってね!」

グリーンに駆け寄るレッド、イエロー。
レッド「大丈夫かっ!?」
グリーン「う、うん‥‥」
ブラック「通用するかわからんが、もう一度、テルミット、試してみるか?」
レッド「ああ! グリーン、リーブラスター借りるぜ! イエロー!」
イエロー「いいぜ!」
ブラック「ブラック・チェリー!」

マルキガイナス、わざと胸をはり、受けやすいような体勢に‥‥
ブラック「しまった! ワナだっ イエローッ」

既にリーブラスターを構えて飛び込んでいるイエローマルキガイナスの胸が一瞬だけ鏡面化し、付着したテルミット弾をイエローに向かってはじき返す。
イエロー「なにーっ!?」
レッド「リーブライザー・マックスモードッ」
レッドの前腕がリーブ粒子で覆われ光る。レッド、イエローの前に飛び込む。テルミットがレッド前腕部ではじかれ爆発。衝撃でレッド、イエロー後ろに吹き飛ぶ。
レッド「ふーっ やばかったっ」

マルキガイナス「ハーッハッハッハッ! 私にはもう、どんな武器もきかんぞ!」
ブラック「なんてヤツだ!」
イエロー「おい! くるぜっ」
レッド「散れっ!」

3人バラバラになり、3方から攻撃する。
イエロー「頭ならどうだよっ リーブラスター!」
しかし頭も一瞬だけ鏡面化し反射。イエロー被弾。

レッド「リーブライザー・マックスモード!」
マルキガイナスの胸にストレートを叩き込む。マルキガイナス、少しよろめくが、レッドの顔面に強力なパンチ。レッド、両手で受け止めるが‥‥
レッド「わっ!」
レッドの前に突き出されたマルキガイナスの拳に銃が生じている。
ブラック「ブレードモード!」(マルキガイナスの腕に斬りつける)
が、離脱したレッドとブラック。マルキガイナスの残りのバズーカで撃たれる。

レッド、ブラック、イエロー、支え合うように集まる。
イエロー「ボディじゃなく、銃狙った方がいいな。そっちは攻撃を受け付けるみてーよ?」
レッド「だな。とにかくあの右肩のやつ、なんとかしねえと身がもたねえ!」

と走ってくるグリーン。
グリーン「みんな、見た?」
レッド「何を?」
グリーン「アイツ、身体の一部分を一瞬だけ鏡みたいにして、それで弾くんだよ!」
ブラック「ってことは構えるヒマ、与えなきゃいいってわけか?」

イエロー「でも、この前と同じなら弾かれねーだけで、効かねーんじゃねー?」
レッド「ボディ攻撃は撹乱だ。効かなくていい。3人で仕掛ける。念のため火器は使うな。で、イエロー、チャクラムでバズーカをなんとかしてくれ」
イエロー「おっけ!」
レッド「いくぞっ」

ブレードを持ったレッドとブラック、ルートンファーを持ったグリーン。一挙にマルキガイナスにとりつく、激しい攻防。
イエロー「うまくやんねーと、みんなにあたっちまう‥‥」


マルキガイナスの正面からレッドとグリーン飛び込んでくる。マルキガイナス、掃射の準備。と、レッドの肩を踏み切って飛び上がってきたブラックのブレードが、マルキガイナスの頭に直撃。流石によろめくマルキガイナス。
イエロー「いまだっ! リーブチャクラム・ストーム・シュート!」
右肩のバズーカを見事に吹き飛ばす。

マルキガイナス「くっ 覚えていろっ」(頭に手をかざして消える)
思わずその場にへたりこむ4人‥‥。



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