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第27話 鋼の守護神
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「公園の周囲2Km、避難終わったそうです」 特警の早見瞬が携帯のような機器から顔を上げてそう言った。一見携帯だが官給品の警察無線だ。 「そうですか。よかった‥‥」 星加有望が黒い巨人を見上げる。ネオリーブロボ・ガーディアンは、巨大化したマルキガイナス・ゴルリンより頭一つ以上も小さかった。閉じた三角翼を背中に背負ったその姿は短めのマントを羽織っているようにも見える。早見は疑問に思っていたことを口に出した。 「あいつ‥‥もしかして前より小さいですか? それとも敵さんがデカイのかな‥‥」 OZの女性科学者は緊張した顔に少しだけ笑みを浮かべて、早見を見た。 「いえ、確かにガーディアンはリーブロボより1割以上も小さいです。でもその分、姿勢の制御が格段に良くなっているから‥‥」 「あ、自分、それわかるッス!」 田口が口を挟んだ。 「あのロボット、重心の移動がきれいッス。ムダが無い感じがするス」 「あ、お分かりですか? 新しい分散型のスタビライザー・アルゴリズムを応用してるんです。7カ所の位置センサーにそれぞれ専用演算回路を直結させていて、そこで処理したものを‥‥」 「ちょ、ちょっと、星加博士っ!」 「はい」 輝きを帯びた瞳に見つめられて、早見は一瞬沈黙し、それから言った。 「とにかく! もう少し離れましょうって!」 さっきよりは大分離れたとはいえ、3人はまだ、何かあったら確実に巻き込まれそうな位置に居た。 ガーディアンは軽く足を踏み換えてすっと重心を落とした。敵に向かって巨体とは思えない敏捷さで突進する。怪物の右側に回り込んで肩の大筒に手をかけると、先端を押し上げるようにして破壊しようとした。だが敵も黙ってそうされているはずもない。巨大化した怪人の繰り返しの殴打にロボットは間合いを空けた。 マルキガイナスが火砲の狙いを定める。だがガーディアンは再び突っ込んだ。低い体制からボディブローとローキックを浴びせる。あまりダメージにはなっていないが、間合いを詰めることで火器を使わせない効果はあった。 「ぐわっとぶっ飛ばせるよーなの持って無いんですか、あれ!」 小走りに離れつつ、背後を見やりつつ、早見が喚く。 「みんなが乗り込まないと‥‥武器は使えないわ! ‥‥今は機銃ぐらいしか!」 息を切らせながら有望が答えた。レヴィンとオウルには誘導型のミサイルも搭載できるが、ガーディアンになる時にそんなものを持っていたら危険すぎる。 「んなこと言ったって! あんなんどーやって乗るんです!」 「少しチャンスがあれば、きっと大丈夫よ!」 思わず声を荒げた早見に星加有望がぱっと返した。ただ言い返しただけという根拠の感じられない物言いが逆に女っぽく聞こえた。 マルキガイナスの砲口がとうとう火を噴いた。どでかい榴弾を喰らったガーディアンがよろよろと後退する。怪人はロボットに近づき火砲を誇示するようにすっと両肩を張った。再度発砲しようとした時、ガーディアンの両脇で2機の自衛隊機がまるで展示飛行のように翻った。 F−2から放たれた誘導ミサイルが巨大化怪人の両肩にそれぞれ命中する。怪人がガーディアンに気を取られていたことで、F−2のパイロット達も遠距離からより確実にミサイルを誘導することができた。砲口に飛び込むまではいかなかったが、それはマルキガイナスの火砲を二つとも封じることに成功した。 赤星、黄龍、輝の3人はその時ガーディアンの右足脇まで到達していた。思い切り地面を蹴って地上から10メートルはあるロボットの右膝あたりの足場に取り付く。そこには小さなハッチがあった。内部は様々な装置類やパイプとケーブルで埋まっている。外壁には梯子が付いていて、その脇には少し間を空けてワイヤーが2本並んでいた。赤星が壁のスイッチを入れると1本は上に1本は下に向かって流れ出す。要は極めて簡便で使用者に優しくない上下の移動手段だ。彼らはそれに取り付くと勢いよく吊り上げられた。ガーディアンの動きに伴って揺さぶられてもあまり気にする風でもない。強化スーツ無しにはとてもできない搭乗方法であった。 天井に到達して隔壁のハッチをスライドさせると2メートル四方ほどの空間に出る。天井は半分が低く残りは高い。天井の低い側、中二階のようなその上部がガーディオウルのコックピットだ。通常時と合体時で回転するためこうなっていた。黄龍と輝がちょっと合図してそちらに飛び上がった。 ガーディアンはリーブロボと違い、操縦者はそれぞれのメカのコックピットから動かない。もちろん内部で互いに移動はできるが、基本的には最初に搭乗したメカのまま全体のコントロールに有機的に参加する。 頭部にはめ込まれるガーディペッカーは基本的に瑠衣か輝が搭乗する。合体した時には全ての外部モニターがここで分析されることになる。最悪の時はこの機体に5人を乗せて脱出することも可能だった。 胴体になるガーディレヴィンは黒羽がメインで赤星がサブの想定だ。ガーディアンになった時はここが制御の中心になる。輸送攻撃機と言うにふさわしいこの機には5人が乗り込むスペースがある。 腰部と脚部を形作る大型装甲車ガーディオウルは黄龍がメインドライバーになる。オウルは左大腿部に最も重要なリーブトロンを抱えており、サブドライバーはリーブエネルギーの調整機能を受け持つ。今日は輝がその役だ。 黄龍、輝と別れた赤星は今度は直径1メートルぐらいのパイプの中に入る。内側には取っ手が並んだようなハシゴもどきが上に向かっていた。オウルとレヴィンの接続部を金属の筒に保護されながら駆け登る。レヴィンの胴体に入ると動力伝達システムやメインエンジンの脇を抜けて、可動コックピットにたんと飛び上がった。 「黒羽!」 メインパイロット席の高い背もたれの左脇で白い手袋がひらりと舞った。近寄った赤星がリーブレスを差し出す。だが黒羽は手を引っ込めて顎をちょっと突き出した。唇が拗ねたようなへの字になっている。 「どーせオレは怪我人のメカニックなんだろ?」 「え! い‥‥。そっ、そーゆーワケじゃ‥‥っっ」 「こいつに免じて許してやるんだからな。覚えとけよ」 黒羽はガーディアンのパネルをぽんと叩くと尊大な仕草で手を差し出した。赤星はブレスレットをそおっとその手に乗せると、脱力してコパイ席に転がり込んだ。 <こっち、OKだ!> 黒羽が黒いスーツに包まれると同時にパネルの隅にある小さなモニターから声がした。イエローのマスクの前に興味津々といった感じでグリーンのマスクが身を乗り出してくる。 <危ないわ!> 瑠衣の声がモニターを通じてレヴィンとオウルのコックピットに響いた。F−2がマルキガイナスに再度接近していた。マルキガイナスは封じられてしまった左の火砲をむしり取って右手で掴んでいる。 「オーバードライブだ!」 赤星が叫ぶ。ガーディアンは既に黒羽の操るままに踏み出している。刹那激しいGが5人の身体にかかり、ガーディアンはまるで瞬間移動したかのようにマルキガイナスの懐に飛び込んでいた。 ガーディアンを構成する各メカは、リーブダイナモと呼ばれる発電機で生み出した電気を動力源としている。"燃料"は科学的には極めて不活性な窒素であり、リーブ技術のお陰でエネルギーに変えることができた代物だ。 だが"兵器"としてはリーブ粒子そのものを使う方が効果的だった。だからガーディオウルにはリーブ粒子のエネルギー炉であるリーブトロンが搭載されている。その出力を武器ではなく通常の駆動系動力の方に加えることで高速に移動することもできた。もちろんリーブトロンを活用するには最低4つのリーブグリッドが必要になるが、それもこうやってブレスレットをケーブルで接続してしまえばOKだ。 火砲を振り回そうとしたマルキガイナスの腕を、巨人はがっしと押さえ込んだ。相手の手を逆手に掴み、歪みねじけた金属筒を叩き落とす。 「おっ ウソみてー! やたら反応いいぞ!」 「だろう?」 ガーディアンの腕をコントロールする赤星が感心したように言い、黒羽が得意げに応じた。 <オーバードライブ解除! パワー30%ダウン!> 「もうかよっ!」 機体に負荷をかけるオーバードライブは短時間しか使えない。輝の警告に赤星がスティックを握り直す。 「まともにやり合うと、パワー負けするぞ!」 そう黒羽が言った時、マルキガイナスの両手はガーディアンを捉えていた。 「わっ 捕まったッス!」 F−2が叩き落とされる寸前に怪物の腕を押さえ込んだまでは良かったが、今度はロボットの方が捕まった形になった。マルキガイナスが小柄なロボットに自らの頭を叩き込む。激しい金属音が響きガーディアンが振動した。 「プロレスファンかよ、あいつわ!」 早見が思わずそう怒鳴り、有望は有望で通信機に向かって叫んだ。 「みんなっ?」 <‥‥って、しゃべらすな! 舌噛んじまうっ! 離れろ! とにかくずーっと離れるんだ!> その割にはきっちりとしゃべりまくった赤星のわめき声に、有望はほっと苦笑した。 「あ、まあ、敵のバズーカは無くなったし、あとはなんとかなりそうってとこですかね」 早見のフォローに有望がこっくりと頷く。 「はい。ただ、ガーディアンはスリムで頑丈な分、衝撃を吸収するゆとりが少ないんです」 「サスペンションの堅い車みたいなもんすか?」 「ええ」 「でも、なんかそれなりに対応してるみたいッスよ?」 田口が少し面食らったような声で上空を指さした。直撃を避けて1機だけ離脱したガーディ・ペッカーがぐるぐると飛び回っていた。 「‥‥‥‥‥‥おい!」 黒羽が突っ込んだ時はもうガーディ・ペッカーは離脱していた。 <やーん! 壊れちゃうよ!> <ちょっとピンク! それヘン過ぎっしょ!> <だって、この子、絶対スターよりもろいよ〜! ロボットは顔が命!> <雛人形じゃないんだから〜っ> <えーい、この! ガーディを離しなさい!> ペッカーが急降下してマルキガイナスの背後からバルカンを浴びせた。マルキガイナスの身体はそれを吸収してしまいびくともしない。だがそれでも意識はそちらに逸れた。 「グリーン! リーブ砲、エネルギー充填だ!」 <この距離で? 跳ね返されたらヤバイよっ?> 「撃つのはアイツじゃねえ。ブラック、テイクオフ準備! 最後までなだれ込むぜっ!」 マルキガイナスの胴体に突っ張るように押し当てられていたガーディアンの左手が甲の側にぱくりと折れた。折れ口から短い金属の筒がせり出してしゅうっと金色にけぶり出す。ガーディアンは頽れるかのようにがくんと沈み込み、左腕をマルキガイナスの足元に向けた。 「リーブ砲、ファイヤー!」 金色のエネルギー流がマルキガイナスの足元の地面を抉る。巨大化した怪人はその穴に沈み、大きく揺らいだ。ロボットに掴みかかろうとしたが、鋼鉄の巨人はいち早く後ろに跳びすさっていた。 「ガーディアン、テイク、オフ!」 黒羽がレバーを入れると駆動系の全権がレヴィンに集中した。前傾気味に跳んだガーディアンの脚部が背中側にスライドし、同時に背中の翼が開いた。腹部と後方からいくつも噴射が起こり巨体がふわりと浮く。次の瞬間、しゅん、と滑るように舞い上がった。 「わ、すげえっ!」 もはや木々の上に巨体の上部が見える程度まで離れていた早見は、子供のような歓声をあげつつもほっぺたをつねりたい衝動に駆られた。巨大な鉄の塊が人間のように動き回っていたかと思ったら、挙げ句の果てに玩具のように飛翔する。 上昇がとまった首無しの巨体に小さな戦闘機がまとわりつき、それが再び頭部に戻った。落下を始めつつ左大腿部のあたりに手をやって何かのパーツを取り外した。ぐんと長く伸びたそれを右手に持ち替える。棒の先端は槍状になっており、柄と刃のつなぎの部分は少し太くなっていて銀色に光を弾いている。 「リーブランス‥‥。お願い、うまく決まって‥‥」 有望のかすかな呟きを聞き入れたかのようにガーディアンはその長い槍をくるりと回し、そのまま急降下した。地面に嵌り込んでもがいている怪物の肩先に槍先が入る。落下の勢いに乗ってそのまま刺し貫くと、ガーディアンは自分の得物を置いたままぽーんとそこから離脱した。 ずんっとくぐもったような爆発音がして、マルキガイナス・ゴルリンが硬直した。グレーの巨体はそのまま内側に溶解していくように崩れていく。刃先と一緒に体内に入った高準位のリーブ粒子がその身体を焼き尽くしていった。 「やった‥‥んスか?」 田口が呆けたように聞いた。 「はい」 星加有望がそう言うと、振り返って早見と田口の顔を見つめた。 「ネオリーブロボ・ガーディアン。なんとか初陣に成功したようですわ」 早見はまじまじと星加有望の顔を見返した。いつもと違う印象を持ったのは服装のせいだけではなかったと初めて気づいた。目の下にうっすら浮いた隈や青白いほどの頬。髪の艶もなくほつれたままで、それは「疲れている」と言ってよかったろう。リーブロボが破壊され、装備の不調でオズリーブスが戦えなくなった‥‥。それは科学者たちにとってはまさに修羅場の始まりだったというわけだ。 だが、女の顔には深い安堵と素直な達成感があった。事件が終わってこんな風に単純に満足感が得られたことが何度あったろうかと、少し羨ましくなった。 「お疲れ様でした。警察を代表して‥‥‥‥」 そう言いかけた早見は苦笑して頭を掻いた。 「いや‥‥こんなの、本官のガラじゃないっすね」 本部長ならさぞかし格好良くキメるんだろうなと、早見は思った。 だがそう言われた有望はまるで少女のように嬉しそうな表情を浮かべた。 「いえ、ありがとうございます。お世話になりました」 そう言ってしなやかに一礼する。そのまま失礼しますと去ろうとするので、早見は慌てて引き留めた。 「ちょっと、星加博士! よかったら送りますって! 駅に戻れば車あるし。まさかそのカッコであれには乗れんのでしょ? 黄龍瑛那のバイクだってどーなってるか‥‥」 有望は虚を突かれたように数度瞬きをし、照れたように笑うと小さな声で言った。 「‥‥そうでした‥‥。すみません、それではお願いします‥‥」 有望が通信機に語りかける。そしてロボットに向かって大きく手を振った。ガーディアンはこちらの姿を認めて向き直ると浅く頭を下げてくる。その仕草が妙に人間臭くて、田口と早見は顔を見合わせて笑った。 高くなってきた陽射しが金属の巨体で白く照り返す。 ネオリーブロボ・ガーディアンは光に埋もれているように見えた。 いましばらくは地球の守護神となる鋼の巨人に、祝福が降り注いだように‥‥ ===***=== 「ふうん‥‥。せっかくのチャンスだったのに。残念だったね、シェロプ」 意外なことに新参謀は部下の失敗にずいぶんと寛大だった。まだ叱責の仕方がわからないのかもしれない。一方の魔神将軍は床にひれ伏さんばかり。以前とはえらい違いだった。 「‥‥も、申し訳ございません。それもこれも、すべてゴルリンの出来損ない故‥‥」 「なっ テメーの指揮の悪さを棚に上げて、何言って‥‥!」 怒りに燃えて喰ってかかったゴリアントをファントマがなだめた。 「まあまあ、ゴリアント。‥‥だけど、あいつらもバカじゃない。手の内を読まれていると、ちょっと辛いのは確かみたいだね」 「それは‥‥‥‥」 ゴリアントが押し黙る。ゴリアントの自慢の部下達を模した2体のゴルリンも、大暴れをしたとはいえ、沢山の人間達に潰されてしまっていた。 少し離れたところに立っていたスプリガンが腕組みをしたままぼそりと言った。 「例の2体になる新しい巨大化光線。なんで魔神将軍に持たせなかったんですかい?」 「あ、これ?」 ファントマが皆の前で手を開いた。そこには青く光る小さな小石が幾つも乗っている。一つの固まりだったものが砕けたもののようだった。シェロプもゴリアントも訳の分からない顔をしている。だがスプリガンは身を乗り出し、訝しげな声を上げた。 「‥‥ハミルタイト鉱石‥‥?」 「さすが機甲将軍だ」 「ウソでしょう? こんな純度の高いハミルタイトなんざ、見たことねーぜ!」 「そう。極めて珍しい」 「まさか、これを使ってあの巨大化光線を?」 「そういうこと。だが1度使うとこうなる」 「‥‥なんてこった‥‥」 「おい。なんなんだよ、スプリガン! オレっちにも判るように説明しろ!」 ゴリアントが喚く。シェロプも口にこそ出さないが興味津々の顔つきだ。スプリガンは再び腕組みをし直すと説明してやった。 「オレらがディメンジョンストーンを制御するときはティタニウムを使ってる。このハミルタイト鉱石はティタニウムの何十倍もの効果とエネルギーがあるのさ。だが、こいつはもともとこの世界のもんじゃねえ。よその次元から落ちてきて、次元間を通過する過程で変性したって言われてる。だからとにかくえらく稀少品なんだよ」 「では‥‥2体へのの巨大化はもうできないということですか?」 シェロプの問いに、ファントマはぽりぽりと後頭部を掻き、どこか媚びたような笑みを浮かべた 「今、色々探させてるから、またそのうちね」 と、ファントマが顔を上げた。三将軍もつられて入り口の方を見やり、驚いた。扉の音は一切しなかったし皇帝の城で空間移動を使うのは御法度である。だが、その白い人影は、確かにそこに居た。 「おいで。皆に紹介しよう」 その人物は頭の先から足の先まで一枚布を巻き付けたような厚い白っぽい衣装に覆われていた。妙にひょろ長い体型で、それが移動してくるだけで不気味に感じられた。その者は言葉もなく三将軍の脇をすりぬけてファントマの前に跪いた。ファントマは軽く頷くと、三将軍の顔を見やった。 「新しい夢織将軍だ」 白い人物はフードを取った。中から床に引きずるほど長い銀髪が流れ出る。立ち上がるとシェロプと同じくらいの背丈があった。それは深々と頭を下げた。 「我はアトラク=ナクア」 女の声のようだが、何か妙な風に響いた。顔をあげると何かを塗りたくったように真っ白。目は全体が虹彩で覆われているのか硝子体がそういう色なのか、とにかく赤い。 「ファントマ閣下の元、夢織将軍のお役目、しっかりと全うしていく所存。よろしくお願いする」 話している間、一切動かなかった口元が、声が聞こえなくなって始めてゆっくりとカーブを描いた。白い顔の中で深紅の薄い唇に浮かんだその笑みは、新しい夢織将軍アトラク=ナクアに、ひどく酷薄な印象を与えていた。 ===***===(終)===***=== 2004/2/14
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