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理絵さんの夢織劇場
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その5 幸せ家族 Act.3 男の酒談義 こんにちは、翠川輝ですっ!よーやく世界も平和になったことだし、オレも家に戻ってオヤジの技を盗むべく日々修行中の毎日です。 けどリーダーと一緒に組み手だけはするようにしてるの。 なんていうのかなあ、毎日やってたからそれが日常化してるみたいなんだっ。空気みたいな。 やらないと死んじゃう、まではいかないけど(笑)、リーダーと一緒にしてると楽しいし。 それに、組み手終わったら、こうやって飲みに連れてってくれるときもあるんだv いいでしょっ? いつもならオレの大工の腕前がどのくらい上がったとかそういう話ばっかりなんだけど、今日はどうも違うみたい。 今日は何かと言うと………。 「えー!まだだったのっ?」 「あ、輝座ってくれよっ」 まるで熊みたいなでっかい体を縮こませて「立ち上がるなよっ」と輝くんに諭したのは赤星竜太さんです。 困ったように輝くんを見つめて、「はあ〜」とため息をついています。 しかし輝くんはそんな竜太さんに追い打ちをかけるように、小さな声で言いました。 「まだ主任にプロポーズしてないの…?先月『俺はやるぞ!』なーんて言って研究室まで行ったからさあ…。」 オレもうとっくに伝えているのかと思ってたんだけど…と、輝くんはビールをぐぐーっと一気のみしました。 「だ、だ、だ、だってさあ、聞けよ輝!その……人がいっぱいいたし……博士達だっていたしさあ、俺の事どう思ってるのかなとか考え出すとなかなか言い出せなくって……」 「『俺の事どう思っているのかな』って、そんな、何言ってんのりーだー……。」 輝くんはため息をついたまま開いた口がふさがらない、そんな状態になってました。 今更研究室にいるメンバーで彼の気持ちに気づいてない人なんているわけありません。 誰もが認めていて、誰もが祝福しているというのに、当の本人だけがこの想いを『非公式』にしているのですから、タチが悪いです。 「り、リーダーあのさあ……いつまでもそんなんだったらさあ、いつまでたっても結婚できないよ……あ、それとも向こうから言ってくれるのを待ってるとか?」 「違う!!俺から言いたいの!!!」 「こういう時って主任の方が行動派だよね〜。」 「そ、そ、そんなイジワル言わねえでくれよ……。」 「だめだよっ!ちゃんと口に出さないと、口だけだったら困るけど……もうっ。」 「だけど……。」 普段とは打ってかわったこの優柔不断加減に輝くんは呆れて、赤星さんにまたビールを継ぎ足しました。 そこへです。 バタン!!とドアが乱暴に開いて、かなりの大柄な人物が入ってきました。 ロングコートにマフラーを巻き付けて顔が見えません。 けれども、その見えない顔は赤星さんと目が合ったようです。優柔不断な赤星さんの元にずんずん近づいていきました。 「アキラ、リュータ、聞いてくれよ!!」 フードをとって現れた顔はスプリガンおとうさんでした。 今にも輝くんを取って食おうとせんばかりのイキオイに、赤星さんは輝くんをちょっとだけ自分の方に引き寄せてから、お店のお兄さんに「オイルひとつ、中ジョッキで」と頼みました。 「ど、どうしたのスプリガン?今日は理絵さ…アラクネーはいないのっ?」 「どうもこうもねえよあいつ!!」 「わかった、アラクネーとプラリネちゃんがお前置いて旅行にでも行ったんだろ?」 「殺るぞガキが。」 赤星さんにレーザーでもブチこまんばかりにニラミを聞かせたスプリガンおとうさんでしたが、輝くんがなだめてなんとか冷静になったようです。 運ばれてきたオイル中ジョッキを飲み干して、はー……とため息をつきました。 「BI様が生きて戻ってきやがったんだよ。」 「よかったじゃん!アラクネー喜んでいるでしょっ?」 「それはよかったさ。だけどよ……。」 事の顛末を彼らに話し始めました。 自分だけがハブにされてたりとか、自分にいかに長い間アラクネー奥さんとプラリネちゃんに触ってないとか、一緒に寝ようとすると睨まれるとか、お料理を作ろうとするとジャマ扱いされるとか。その他色々エトセトラ。 「ひ、ひでえな……イジメじゃねえかよ…………(汗)。」 「ヤリスギじゃないっ?それって……。」 「けどなあ。」 コホン、と咳払いをひとつして、赤星さんは『BIの気持ちもちょっとわかるかも』とつぶやきました。 「なんでだよ?」 「たとえばさあ。プラリネちゃんに彼氏が出来たとするだろ?そいつがお前に近い年だったらどーすんだよお前。」 「…………………………・・・ 本当に好きならいーんじゃねえの?」 (ウソだ……) 考え込み具合にスプリガンお父さんの本音がわかった輝くんでしたが、もちろんそんなことは口にしません。 大体、スパイダルのひとって年齢ってどーなってるの? スプリガンっていくつなんだろ?アラクネーはっ? 「じゃ、じゃあもしだぞ、もし、自分がいない間に彼氏どころかダンナになっててしかも可愛い子供とかいたらどうするんだよお前。」 「許すわけねえだろ!!!」 「だろー?多分BIもおんなじ気持ちなんだよきっとさ。」 ホラ、と赤星さんはスプリガンおとうさんに、頼んでおいたオイルをジョッキに注いであげました。 (いや、ちょっと待って。) 輝くんは思いました。 (プラリネちゃんて一応ロボットだったと思うけど、子供ってできるの?いやけどそれより…) 「人の事より自分の事心配した方がいいんじゃないのリーダー……?」 「どうした輝?」 「んーん、別に………。」 その後もスプリガンお父さんはイカに自分がヒドイ目にあってきたかを赤星さん達に語りました。 BI様だけならまだしもアラクネー奥さんとプラリネちゃんまで手玉に取られていること、アラクネー奥さんがなんだかちょっと冷たいこと、プラリネちゃんがBI様になついて離れないこと、大体黒羽さんが面倒を見ればいいじゃねえかよ、などなど………。 「わかるわかる!!黒羽すぐに旅に出るしさあ……。」 「だろ?司令官殿は瞬間移動できんだから、サッサと息子のとこにでもいきゃいいじゃねえかよ……。」 「ええ!? 俺も行きたい……。」 「だから連れてってくれよオレの所からよお………。」 結局。 納得したのかしないのか、くだらない話で終わったような気もしない事もないですが、スプリガンお父さんは帰っていきました。 「寝てる時は気をつけねーとな………。」 「気をつけてなー。」 「なんかあったら、オレんち部屋空いてるから!」 「あー。」 スプリガンお父さんはおみやげを片手に千鳥足で去っていきました。 「あーあ……結婚してからも大変だよなあ………。」 「そうだねえ………って、リーダーっ!」 「へ?何輝?」 「何じゃないって!さあ、ホラつぎはリーダーの番だよっ。」 「な、なんだよどうしてさ。」 「リーダーは人の心配する前に自分の心配しないとダメだって!!」 「いや、そうだけどさあ………。」 スプリガンお父さんが帰った後、酔わない輝くんは酔っぱらった赤星さんを目の前に、時には説教をして、時にはお話を聞いてあげて、その日は結局オールとなったのでした……。 どこの世界も家族と上手くやるって大変みたいだねっ。 けどさあ、リーダーは家族作る前に有望主任にプロポーズすること!! わかってる?これオレのオーダーだからねっ!! と、いうわけで翠川輝でしたっ! ああもう、優柔不断なんだからっ! おしまい。 夢見:理絵/文:ラバランプ 2003/11/16
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